「転職したら年収が変わった」 トラック業界で何が起きているのか? 「年収78万円アップ」を生んだドライバー争奪戦とは
深刻な人手不足を背景に、トラックドライバーの転職後年収は78万円増(19.8%増)と動けば上がる過熱市場を呈する。だが求職希望との115万円の乖離や、全業種最下位の価格転嫁率(34.7%)など構造的課題は根深い。獲得合戦を超え、物流インフラの価値配分を再定義する転換点が訪れている。
ドライバー転職と年収変動の実態

深刻化するトラックドライバー不足を背景に、物流人材市場で新たな動きが目立ち始めた。経験豊富なドライバーが転職を機に待遇改善を勝ち取るケースが増加し、労働市場において「経験者の価値」が再評価されつつある。
プレックス(東京都中央区)が運営するエッセンシャルワーカー採用研究所のリポート「ドライバー転職と年収の実態」(2026年8月4日発表)によれば、ドライバー転職者の年収(中央値)は転職前の360万円から
「438万円」
へと跳ね上がった。その差額は78万円。率にして19.8%の大幅増だ。だが、この数字をもって直ちにドライバー全体の待遇改善が進んだと結論づけるのは早計だろう。
・企業側の提示給与
・求職者の希望条件
には依然として開きがあり、地域間の格差も根強く残るからだ。
年収上昇の裏にあるのは、賃上げ競争ではない。制度改正や人材需給のひっ迫といった物流業界を取り巻く構造変化そのものだ。「78万円」という額は、個人の収入増にとどまらず、物流人材市場が様変わりしていく過程を如実に映し出している。