「ガラスハッチはどこへ消えた?」 RVブームで当たり前だった便利装備、1万台突破モデルが映す変化とは
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海外モデルの動向と今後の可能性

国産車において姿を消しつつあるガラスハッチだが、視点を海外に向けると、独自のこだわりを持ってこの機構を採用し続けるモデルが少なからず存在する。
輸入車市場を見渡せば、BMW3シリーズ ツーリングをはじめ、シトロエンベルランゴ、プジョーリフター、ジープラングラーなどが、それぞれの思想に基づいてこの装備を受け継いでいる。
BMWの場合、2024年に発売された5シリーズ ツーリング(G61型)でガラスハッチが廃止され、現行ラインナップでは3シリーズ ツーリング(G21型)のみの搭載となった。とはいえ、長期休暇に大量の荷物を積み込んで長距離を高速で移動する欧州特有のツーリング文化において、荷崩れを防ぎながら上部スペースにアクセスできる同機構の評価は現在でも極めて高い。
さらに、堅調に推移するアウトドア関連市場の動向も見過ごせない要素だ。矢野経済研究所の調査によれば、2024年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場規模は前年度比5.2%増の約4634億円と再び拡大基調に入り、2025年度には約5060億円に達すると予測された。
こうした市場環境のなかで存在感を放っているのが、フランス生まれのMPV(レジャー・アクティビティ・ビークル)とも評されるシトロエン・ベルランゴだ。2020年の日本導入以来、2024年8月時点で累計登録台数
「1万台」
を突破し、日本におけるシトロエンブランドの屋台骨を支える主力モデルへと成長を遂げた。
同モデルもリアガラスを独立して開閉できる機構を備えているが、特筆すべきはモジュトップと呼ばれるルーフ収納システムとの巧みな連携にある。ラゲッジスペースの天井に設けられた吊り下げ型の巨大な収納ボックスに対し、バックドアを開けることなく、ガラスハッチ越しに車外から直接アクセスできる設計だ。こうしたフランス車らしい合理的なギミックが、アウトドアを好むユーザーを中心に厚い支持を集めている。
車体剛性や製造コストといった現代の厳しい設計要件を踏まえると、ガラスハッチがかつてのような形で多くの国産車に一斉復活する可能性は低いかもしれない。しかし、クルマを通じて趣味やライフスタイルを充実させたい限られたスペースでもスマートに荷物を扱いたいという生活者の本質的な欲求は、時代とともにむしろ洗練の度合いを深めている。
日産セレナが提案する手動のデュアルバックドアや、シトロエン・ベルランゴに見られる収納システムとのシームレスな連携など、人を中心に据えた機能性の追求という根底にある思想は、今後のミニバンやSUV、そして次世代のEVの中にも、形を変えて確実に受け継がれていくだろう。