「ガラスハッチはどこへ消えた?」 RVブームで当たり前だった便利装備、1万台突破モデルが映す変化とは

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かつてRVブームを彩ったガラスハッチが絶滅の危機にある。開発資金のEV・安全技術シフトや平均保有7年超の節約志向により国産車で激減した一方、約5000億円規模へ拡大するアウトドア市場や、累計1万台超を販売した輸入車ベルランゴなど狭小地での実用性が再評価されている。衰退と活路の物語を追う。

ガラスハッチ激減の背景にある事情

使用状況に合わせてバックドア(全体)かハーフバックドア(上側)の2通りで開閉することができる日産セレナのデュアルバックドア(画像:日産自動車)
使用状況に合わせてバックドア(全体)かハーフバックドア(上側)の2通りで開閉することができる日産セレナのデュアルバックドア(画像:日産自動車)

 現在、国内の新車市場でガラスハッチに近い機能を備えるモデルといえば、日産セレナのデュアルバックドアが代表格として挙がる程度だ。かつて隆盛を極めた装備がここまで激減した背景には、自動車メーカーが直面した技術的、そして商業的な構造変化が絡んでいる。

 大きな要因のひとつが、ボディ剛性と重量への影響だ。現代の乗用車の主流であるモノコック構造は、車体全体を殻のようにして強度を保つ。とくにリアゲート周辺は車体のねじれ剛性を左右する重要な環状構造を担うが、ゲートを分割式にすれば、当然ながら一体成型よりも剛性は落ちる。これを補うために補強部材を追加すれば、車両の運動性能を損ないかねないリアオーバーハング上部の重量増や、設計コストの跳ね上がりを招いてしまう。

 加えて、マクロ経済の動向と製造コストの壁も立ちはだかる。ヒンジやロック機構、ガスストラットなど専用部品が増える分割構造は、どうしても製造コストを押し上げる。近年、各メーカーは電気自動車(EV)などの電動化や、自動運転を見据えた先進運転支援システム(ADAS)の開発に巨額の資金を投じなければならない。

 一方で消費者側も、長引く物価高や維持費負担から節約志向を強め、車両の平均保有期間は7年を超えるなど長期化の傾向が顕著だ。その結果、開発陣の限られた予算は物理的な利便性よりも見えない安全性や燃費性能へと優先的に振り向けられる構造ができあがった。

 さらに、代替技術の進化もガラスハッチの存在意義を揺るがした。電動パワーバックドアが普及したことで、重いリアゲートを開け閉めする身体的な負担は劇的に軽減されている。近年はバックドア自体の素材もスチールから軽量な樹脂へと置き換わりつつあり、手動でも軽い力で操作できるようになった。重いからガラス部分だけを開けるというかつての前提条件が、技術の進歩によって過去のものとなりつつあるのが実情だ。

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