年間4億円の「眠る部品」が動き出す! “カイゼンの巨人”はなぜ工場の「保険」を他社へ広げるのか?
トヨタ自動車が年間約4億円に上る設備予備品の外販へ踏み切る。供給網の断絶リスクに直面する中、登録19万点超を誇るプラットフォームを通じて死蔵在庫を共有・循環する動きが急拡大。極限の効率を求めるJITから備え重視のJICへ――。製造業の競争力を揺るがす地殻変動の最前線を追う。
死蔵在庫を生かす循環経済への転換

工場で使われなくなった設備予備品は、これまで不要在庫として長らく保管されるか、廃棄の対象となるのが一般的だった。しかし近年、こうした状況に少しずつ変化の兆しが見え始めている。
トヨタ自動車は、年間約4億円に上る設備予備品を社外へ流通させる仕組みづくりに着手した。背景にあるのは、設備の老朽化にともなう補修部品の不足と、それに連動する調達リスクの顕在化だ。とはいえ、この動きは在庫処分にとどまらない。
かつては死蔵されていた不要在庫を産業全体で共有し、新たなサーキュラーエコノミー(循環経済)へと転換する試みといえる。このパラダイムシフトは、日本の製造業に何をもたらすのか。
設備予備品の流通市場という新たな価値が胎動する現状について、実例を交えながら背景を掘り下げる。