「高級車なのにふにゃふにゃ」 最近のボンネットは手抜きなのか? 自動車メーカーが“硬いクルマ”を変えたワケとは

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新型車のボンネットに見られるペコペコ感はコスト削減ではない。歩行中の致死率が乗車中の5.5倍に及ぶ中、年間約100人の命を救う歩行者保護基準と巨額のR&D投資が生んだ安全技術の結晶だ。外観の硬さから総合安全性能へ――。クルマの価値観と産業構造を大きく変える技術革新の最前線を追う。

ボンネットの質感に生じた構造変化

シビックのポップアップフードシステム(画像:本田技研工業)
シビックのポップアップフードシステム(画像:本田技研工業)

 近年の新型車に触れた際、ボンネットを手で押すとふにゃっとした独特の感触に驚くユーザーは少なくない。昔のクルマのような頑丈な手応えがなく、指先で少し力を入れるだけでペコペコと凹む質感に戸惑いを覚えた人もいるだろう。

 長年にわたり、外板の強度や厚みはクルマの堅牢性や高級感を測る直感的な指標として親しまれてきた。重量感のある手応えや硬い外板パネルは、加工技術の精度や製品の質の高さを直接的に伝える要素だったからだ。そのため、プレミアムカーであってもボンネット中央部が軽く押しただけでしなる様子に対し、疑問や品質への不安を抱く声が寄せられるのも自然な流れといえる。

 しかし、この柔らかさは品質の低下を意味するものではない。ユーザーが長年親しんできた感覚的な品質基準と、歩行者保護性能という新世代の機能価値とが重なり合う中で生まれた構造的な変化である。外装の硬さという目に見える指標から、衝突時の衝撃をやわらげる構造という安全性能へと、クルマの評価基準が広がりを見せている。

 販売の現場においても、この質感の持つ意味を正しく伝える取り組みが進み、自動車の品質に対する理解は新しい段階へと移りつつあるのだ。

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