サブスク制「シートヒーター」はなぜ批判されたのか? 「買ったのに使えない」が映したクルマの価値転換、愛車は「買って終わり」ではなくなるのか
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搭載機能の有料化が生んだ世界的な批判

自分が購入した車両に最初からシートヒーターが搭載されているにもかかわらず、スイッチを押しても作動しないという出来事が現実のものとなった。ドイツのBMWは2022年、同社の「BMWコネクテッド・ドライブ・ストア」を通じて、シートヒーターのサブスクリプション提供を開始した。
対象領域は韓国をはじめ、英国、ドイツ、ニュージーランド、南アフリカなど複数の国や地域に及び、あらかじめ車両に搭載されたハードウェアを有料契約時のみ利用可能とする方法を採用している。価格は月額18ドル(約2500円)に設定され、ソフトウェアで初期状態では作動しないよう制御された機能を、契約後に遠隔操作で有効化する仕組みだ。
この事例が報じられると、SNSや海外のテック系メディアを中心に多様な議論が巻き起こった。車体と一緒に購入したはずのハードウェアに対して継続的な支払いが発生する仕組みに対し、IT分野で用いられる追加コンテンツ購入の手法や不正解除を指す用語とともに話題が広がり、一般の自動車ユーザーにも広く認識されるに至った。事前に搭載された機能をソフトウェアの制御で有効化する仕組みが、これまでの製品購入体験との間で大きなギャップを生んだためである。
継続課金の対象はシートヒーターにとどまらない。ステアリングヒーターのような快適装備から高度な運転支援機能まで含まれており、車載ソフトウェアを軸とした多様な領域で継続的に収益を得るモデルへと移行しつつある。
これは個別の施策という枠を超え、製造時に車両を完成品として販売して完結する形態から、引き渡し後もソフトウェアを介して機能を順次提供していく形態へと、製品と顧客の関わり方が変化したことを示している。
さらに、物理的に存在するハードウェアの利用権をソフトウェアで制御する手法は、新車販売の場にとどまらず、中古車として再流通する際の評価プロセスにも影響を及ぼす。車両の転売時に機能の利用権がどのように引き継がれるか、あるいは再有効化の手続きをどう進めるかといった点を含め、自動車のライフサイクル全体にわたる流通形態の多様化を促す結果となった。