「中国EVを排除せよ」 米国規制が生んだ好機? 日本メーカー2社に迫る新興国での追撃
米国の対中EV規制強化で急浮上した北米での好機。だが自動車産業の主戦場は車載ソフトや電池調達、そして東南アジアなど新興国市場へと激変している。シェア8割超を誇ってきた東南アジア等で中国勢が安価な知能化EVを武器に侵食する中、日本車勢が勝ち残るための「攻めと守り」の次世代戦略を読み解く。
中国EV規制がもたらす新たな競争条件

米中の経済安全保障をめぐる対立が続く中、米国では中国系の自動車や車載ソフトウェアを対象とした規制強化の動きが進んでいる。一見すると、中国の電気自動車(EV)が入り込みにくくなることで、北米市場で大きな販売基盤を持つ日本メーカーには追い風にも見える。
しかし、自動車産業を取り巻く競争環境は変わりつつある。かつては、品質、燃費性能、生産効率、販売網がメーカーの競争力を左右していた。現在では、それらに加えて、車載ソフトウェア、電池の調達、データ活用、地域ごとの供給体制など、さまざまな要素が競争力を決める市場へと変容した。
今後、米国市場で中国勢の存在感が抑えられたとしても、世界全体で競争が弱まるわけではない。むしろ中国メーカーは、東南アジアや中東、アフリカ、中南米など、別の市場で攻勢を強める公算が大きい。
米国の規制強化によって、日本メーカーは本当に優位に立てるのか。それとも、競争の場が変わっただけなのだろうか。
本稿では、中国EVをめぐる規制強化がもたらす市場の変化を起点に、日本メーカーが向き合う新たな競争条件を整理する。