京王電鉄「80億円投資」で何を得るのか? 「派手なファンドゲームに走らなくてよかった」と言えるワケ

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堅実経営で知られる京王電鉄が、80億円規模のCVC設立や量子技術スタートアップとの協業で本格的な変革へかじを切った。全国18社が結集する連携枠組みなど鉄道業界でオープンイノベーションが加速する中、現場DXや資産活用による「戦略リターン」を起点に成長を描く、大手私鉄の新たな投資戦略と実像に迫る。

バス業務最適化と京王のCVC設立

橋本行き列車(画像:写真AC)
橋本行き列車(画像:写真AC)

 京王電鉄は、京王グループの西東京バスが抱える課題の解決に向け、量子計算技術や古典計算技術に知見を持つQuanmatic(クオンマティク、東京都新宿区)を協業先として採択し、バス格納表作成の最適化に向けた実証実験を2026年7月18日から開始した。

 京王グループでは、2024年7月から事業部が中心となって進めるオープンイノベーションプログラム「JISOU(ジソウ)」を実施しており、今回の取り組みもその一環である。

 西東京バスでは、毎日手作業でバス格納表を作成しており、数時間から半日程度の時間を要するなど、現場の負担が大きかった。

 今回の実証実験では、全5か所の営業所のうち、楢原・恩方・五日市の3営業所を対象に、現場への聞き取りを通じて営業所ごとの運用状況を整理する。そのうえで、膨大な組み合わせの中から最適なバスの駐車位置を導き出し、バス格納表を自動で出力する。実証実験の結果を踏まえ、京王グループ以外のバス会社への展開も検討するという。

 この発表だけを見ると、限られた業務範囲での改善に向けた取り組みとも受け取れる。しかし、注目したいのは協業パートナーという考え方である。

 京王電鉄では2022年度から、スタートアップ企業などを協業パートナーとして迎えるオープンイノベーションプログラムを開始した。これまでに、前述の事業部を起点としたJISOUのほか、鉄道事業の変革を目指すKEIO OPEN INNOVATION PROGRAM、地域を起点とするROOOT、社員を起点とするMy turnを展開している。

 2026年2月1日には、80億円規模のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)ファンド「京王れーるファンド」を設立した。出資を通じた共創によってオープンイノベーションを加速させ、とくにJISOUとの連携を強めることで、事業部門の課題解決による戦略リターンの創出と、出資先企業の成長による財務リターンの確保を目指すとしている。

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