「SUV全盛期」になぜ作るのか? 累計128万台のマツダ・ロードスターに学ぶ「溺愛されるクルマの条件」

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累計生産128万台を誇るマツダロードスター。ライバルの撤退を横目に、なぜ異例の長寿を誇るのか。スペック競争を排した体験価値とユーザー共創、そして女性購入約5倍に象徴される需要開拓――。電動化時代に輝きを増す独創の事業戦略と、トヨタ・ホンダと成否を分けた経営哲学の真髄に迫る。

128万台を重ねた異例の長寿モデル

マツダ・ユーノスロードスター(画像:マツダ)
マツダ・ユーノスロードスター(画像:マツダ)

 1989(平成元)年、マツダが投入したユーノス・ロードスター(現ロードスター)は、世界で縮小の一途をたどっていたライトウェイトスポーツ市場に新たな風を吹き込んだ。2000(平成12)年5月にはふたり乗り小型オープンスポーツカー生産累計世界一を達成し、ギネス世界記録に認定される。当時の累計生産台数は53万1890台であった。

 だが、記録は通過点に過ぎなかった。発売から37年が経過した現在も生産の脈動は途絶えず、累計生産台数は128万台に到達している。ニッチとされる市場でこれほどの規模と年月を重ねる事態は、量産を前提とする自動車産業の常識に照らせば異例である。

 一方、ロードスターの後を追うように1990年代に登場したホンダ・S2000とトヨタ・MR-Sは、独自の高度な技術や明確な思想を備えながらも、発売から10年足らずで市場を後にした。市場から退いた理由は、製品としての優劣ではないだろう。メーカーが企業全体のポートフォリオの中でその車両にどのような役割を割り当て、資源を配分したかという戦略の違いに起因するのではないか。

 なぜ、ライバルたちが役割を終えていく中で、ロードスターだけがカタログに残り続け、生産台数を更新し続けているのか。数値上の性能競争とは異なる領域で結ばれた、商品と市場の結びつき。本稿では、マツダ、ホンダ、トヨタの3社が歩んだ異なる軌跡を辿り、産業構造の広がりとともにロードスターが支持を獲得し続けてきた背景を探る。

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