「外国人を採用すれば解決ですか?」 物流倉庫の経営者54%が採用に前向き、それでも残る課題とは
調査概要と制度拡充の背景

外国人材採用支援事業を手掛けるG.A.グループ(東京都渋谷区)は、全国の倉庫業経営者330人を対象に「倉庫業の特定技能外国人の採用意向に関する調査」を実施し、2026年7月22日に発表した。
2026年1月、外国人が働くための在留資格である特定技能の対象に物流倉庫分野が追加された。トラックドライバー不足による荷物の停滞が倉庫の出荷遅延を招き、サプライチェーン全体を麻痺させる懸念が高まったことから、インフラの供給能力を維持するための国策として制度が拡充された経緯がある。
これにともない、人件費削減の対象という従来の見方から、倉庫の処理能力そのものを支える主要な経営資源として労働力を評価する動きが強まっている。本調査は、こうした状況を踏まえ、経営者の採用意向や人手不足の実情、受け入れ準備の進み具合、制度への期待や課題を明らかにするために行われた。
採用戦略の転換と拡大する企業間格差

日本社会は少子高齢化による深刻な人手不足に直面している。
物流業界では、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働が年960時間までに制限された2024年問題によって輸送力の不足が表面化した。しかし、その影響は輸送部門にとどまらない。荷物の保管や仕分け、出荷を担い、物流全体の処理能力を支える物流倉庫でも、人材の確保は経営上の大きな課題となっている。
こうした中、2026年1月に特定技能の対象へ物流倉庫分野が加わり、企業の採用方針にも変化が見え始めた。特定技能は、2027年に廃止され育成就労制度へ移る予定の技能実習制度とは異なり、働き手を確保することを目的とした制度である。
採用意向の背景には、現場で続く人手不足がある。調査では、自社の倉庫運営で人手不足を非常に感じているやや感じていると答えた経営者は
「過半数(55%以上)」
に上った。特に不足している業務として挙げられたのは、ピッキング・仕分け、積み込み・荷下ろし、検品・梱包、入出庫管理など、物流センターの日々の運営を支える工程である。これらの作業は、電子商取引の拡大にともなう多品種小ロット化や荷姿の違いにより、自動化機器の導入による投資回収が難しく、人手に頼らざるを得ない。処理能力に直結する工程であるため、一部でも人員が足りなければ、出荷の遅れや残業の増加などが続いて起こるおそれがある。
今回の調査では、特定技能外国人について積極的に採用したいが23.3%、前向きに検討したいが30.6%となり、
「53.9%」
の経営者が制度の活用に前向きな考えを示した。
一方で、採用予定がない企業も46.1%あり、業界全体が同じ方向へ動いているわけではない。この数値は需要の有無だけでなく、登録支援機関費用や住環境の整備といった初期費用を吸収できる大手企業と、費用負担が重く人手不足のまま受注の上限を迎える中小企業との間で、受け入れ能力の格差が生じている状況を表している。制度が整った共通の環境下にあっても、企業規模や労働市場の違いによって対応は分かれており、事業者の二極化が進んでいくと考えられる。