「好きな色は我慢します」 クルマ選びはもはや“売る前提”なのか? 株式投資の発想? 58%が希望条件を変えた根本理由

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「欲しい車」より「売れる車」へ――。物価高や残クレ普及を背景に、購入時にリセールバリューを意識する人が44.4%に達した。その6割近くが希望条件を妥協する背景には、損失回避を狙うミクロの合理性がマクロの同質化を招く「合成の誤謬」がある。資産化する自動車市場の地殻変動と、情報アクセス障壁の課題に迫る。

個別の合理的行動がもたらす合成の誤謬

車購入時のリセールバリュー意識に関する実態調査(画像:ユーポス)
車購入時のリセールバリュー意識に関する実態調査(画像:ユーポス)

 この状況は特定の事業者や制度だけの問題ではない。少しでも高く売りたい消費者、成約率を高めたい買取事業者、リセールを訴求材料にする販売店、評価されやすい仕様を展開するメーカーなど、それぞれが合理的な判断を積み重ねた結果として人気仕様への集中が進み、消費者が本来望む仕様を変更するケースが増加している。

 さらに、査定への心理的ハードルが情報取得を減らし、市場価格への理解が進まないことで、次回購入時にもリセールへの不安が残る循環も生まれている。

 ミクロ(個人や企業単体)の視点では合理的な行動が、全体で合成されるとマクロ(市場全体)の視点では意図しない非効率や同質化を招く。現在の自動車市場の傾向は、まさにこの合成の誤謬の構造によって引き起こされている。

 現在、損をしないクルマ選びが一定の広がりを見せているが、将来も続くとは限らない。金利や残クレの利用状況、査定サービスの利便性など市場環境が変化すれば消費者の優先順位も変わる。営業電話なしで容易に相場を確認できる仕組みが広がったり、中古車価格の変動が落ち着いたりすれば、再び売却価値よりもデザインやこだわりを重視する人が増える可能性もあるだろう。

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