「好きな色は我慢します」 クルマ選びはもはや“売る前提”なのか? 株式投資の発想? 58%が希望条件を変えた根本理由

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「欲しい車」より「売れる車」へ――。物価高や残クレ普及を背景に、購入時にリセールバリューを意識する人が44.4%に達した。その6割近くが希望条件を妥協する背景には、損失回避を狙うミクロの合理性がマクロの同質化を招く「合成の誤謬」がある。資産化する自動車市場の地殻変動と、情報アクセス障壁の課題に迫る。

株式投資のようなクルマ選び

車購入時のリセールバリュー意識に関する実態調査(画像:ユーポス)
車購入時のリセールバリュー意識に関する実態調査(画像:ユーポス)

 調査でリセールを意識した理由は「次の車の購入資金に充てる」が48.2%、「将来的に手放す可能性がある」が42.4%、「購入から売却までの実質負担額を安く抑える」が29.4%だった。これらに共通するのは「売却価格を含めて総コストを考える」視点である。新車価格の上昇に加え、中古車価格の高止まりや残価設定型ローン(残クレ)の普及がこの行動を後押しした。

 残クレは、車両本体価格から将来の残価分を差し引いた金額を分割払いする仕組みだ。月々の支払い負担を抑え乗り換えやすい反面、据え置いた残価分にも金利がかかり、車の状態(傷や過走行など)が規定から外れると最終回で精算金が発生するリスクがある。

 一般的に新車登録から3年後のリセールバリューは50~60%程度とされるが、人気モデル(SUVやミニバン)、需要の高いボディカラー、充実した装備を備えた車両は価値が維持されやすい。残クレの浸透により消費者は購入時から価値低下を防ぐ総コスト意識を強く持つようになり、クルマは

「将来売却する資産」

として評価される場面が増えている。妥協の対象は、

・好みのカラーより流通量が多い色
・装備より人気グレード
・好きなブランドより市場評価の高いブランド

を選ぶなど幅広い。これらは将来の査定額が維持されやすい市場評価を意識した、負担を抑えるための条件見直しといえる。

 こうした選択は、現在の満足度よりも将来の価値を見据えて銘柄を選ぶ

「株式投資」

にも通じる発想であり、クルマ選びにも「値上がりしそうなものを選ぶ」という資産価値の視点が浸透し始めていることを示している。

 この現象は、行動経済学のプロスペクト理論における「損失回避性(利益を得ることよりも同額の損失を回避しようとする傾向)」で説明できる。自分好みの車に乗る効用よりも、将来価値が下がり損をするリスクを回避する心理が働く、極めて合理的な行動である。

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