「中国製じゃないのに売れません」――EV競争、いまや“生産国”だけでは決まらない? 米国規制が変える自動車産業の新条件とは
米国が中国製ソフトを全面禁止する「デジタル鎖国」へ動く一方、カナダは対中EV関税を6.1%に引き下げ、北米市場の分断が鮮明となった。米国の輸入電池における中国シェアが43%に急減する中、2026年7月のUSMCA見直しを前に供給網は激変。「ソフトの出自」に翻弄される自動車産業の生存戦略を検証する。
北米EV市場の分断

北米の電気自動車(EV)市場では、米国が安全保障を優先して中国系企業への規制を強める一方、カナダは経済面での利点を重視して一定の受け入れ姿勢を示しており、異なる規制環境が生まれつつある。その象徴となる出来事が、米政府による中国・吉利汽車グループ傘下のポールスターへの販売制限だ。
米国のコネクテッドカー規制は、車両の生産国ではなく、車載ソフトウェアの開発元や関係企業を基準に判断する仕組みを取り入れた。このため、中国に関係する技術を使う車両は、製造場所にかかわらず米国市場への参入が難しくなる。こうした方針によって、地続きで経済的な結び付きが強かった北米自由貿易圏にも影響が広がり始めた。
本稿では、米政府の規制方針の違いが供給網に与える影響や、他国メーカーへ広がる可能性のあるリスク、自動車産業が迫られている選択について検証する。