「スペックだけでは選ばれない?」 もはやクルマ選びの基準は変わったのか――16ポイント低下から見える、自動車市場の価値転換
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欲望未来指数は234.0へ低下したが、真の地殻変動はその内訳にある。市場をけん引した「自由」への欲求が40ポイント以上急落する一方、スキルアップ等の「自己投資」は18ポイント急増。コモディティ化が進む自動車産業の活路は、移動手段の提供からユーザーの自己実現を支える「経験経済」への転換だ。
所有から自己実現への購買変化

「クルマが欲しい」という欲望は、これからも自動車市場を支え続けるのだろうか。電通が2026年7月2日に発表した最新の「欲望未来指数」は、その問いに新たな視点を投げかけている。2026年5月調査の同指数は234.0と、前回から16.0ポイント低下した。一見すると、物価高や先行き不透明な経済環境を背景に消費意欲そのものが冷え込んでいるようにも映る。
しかし、調査結果を詳しく見ると、変化しているのは欲望の量だけではない。社会的地位の誇示や物品の所有を目的とする「モノ消費」から、自己研鑽や内面的な満足度を重視する「コト消費」へと購買エネルギーの明確な移行が進んでいる。
実際にコロナ禍以降、消費をけん引してきた「自由でいたい」「健康でいたい」という欲望はともに40ポイント以上低下した。一方で、「挑戦したい」「腕を磨きたい」といった自己投資への欲望は18ポイント上昇し、「承認・優越」の欲求も5ポイント増加するなど、2022年以来4年ぶりに健康志向を上回った。
この結果は、人々の欲求が日常生活の基盤づくりから、自己の可能性を追求する
「自己実現」
へシフトしていることを示している。競争の性質が、限られた可処分所得の奪い合いから「可処分時間の質を高める機会」の奪い合いへと移行したことで、自動車市場の次なる成長領域が見えてくる。