「新車を売るだけでは勝てない」 次世代EV競争はどこへ向かうのか? 中古8割が海外流出、日産「サクラ」が示す価値循環の新時代とは
10万台のストックを築いた日産「サクラ」を起点に、商用EVの主戦場は新車から「運用価値」へ激変した。優良中古車の8割が海外流出する現状を打破すべく、電池の公式証明や運行DXを用いた国内循環が本格化。韓国キアの13年ぶり再上陸も交え、三位一体で進む次世代プラットフォーム覇権争いの最前線に迫る。
新車販売から運用価値へ移るEV競争

日本の電気自動車(EV)市場は、乗用車中心の普及期から、商用領域の電動化(GX)と中古EVの国内循環(サーキュラーエコノミー)を軸とする新たな段階へ移行している。
商用EVの競争は、新車の製造・販売という従来の枠組みを超えつつある。2022年に投入された日産の軽クラスEV「サクラ」は累計販売台数が約10万台に達し、国内市場で一定の規模を確立した。
今後、これらが中古車市場へ本格的に流入することを見据え、法人の営業車や公用車として活用する動きが活発化している。
背景には、車載バッテリーの残存価値を正確に見極める評価技術の確立や、運行・エネルギー管理サービスとのシステム連携がある。さらに、役割を終えた電池を二次利用する充電インフラの実証実験など、車両のライフサイクル全般をカバーする事業環境が広がりつつある。
自動車ビジネスの競争軸は、新車を供給するフローから、市場にある車両を長く効率的に循環させるストックの運用価値へと移行し始めた。
エネルギーや金融などの周辺産業を巻き込み、移動手段が社会インフラと統合される中、海外メーカーも商用EVの新車を投入して国内市場への参入を加速している。
各社のアプローチは異なるが、商用EVを長期にわたり使い続けるための事業基盤を整える方向性は一致している。本稿では、商用EVビジネスの価値創造の源泉がどこへ移りつつあるのか、その構造変化の方向性を多角的に掘り下げる。