「初乗りでも3500円なの?」SNSでも賛否――大井川鐵道の井川線、なぜ運賃から旅行商品へ転換したのか?
大井川鐵道が25.5kmの井川線を一律3500円の「旅行商品」として販売する観光鉄道化へ踏み切った。初乗り比約20倍超となる価格に「大幅値上げ」と批判が上がる一方、その本質は認可運賃の縛りを外した柔軟な価格戦略にある。賛否が分かれる黒字路線の変革から、ローカル線ビジネスの新たな可能性を読み解く。
一律3500円の観光鉄道化の衝撃

大井川鐡道は2026年7月1日、井川線を「観光鉄道化」した。井川線は、大井川鐡道大井川本線の終点である千頭と井川を結ぶ25.5kmの路線である。線路幅は大井川本線と同じ1067mmだが、トンネルなどの断面が小さいため、同線専用の小型列車を運行している。
沿線は人の手があまり入っていない地域が広がり、一般の鉄道では日本一の急勾配区間を持つことでも知られる。そのため、日本で唯一、歯形のレールと車輪を組み合わせた「アプト式」を採用している。途中駅には、COOL JAPAN AWARD 2019に選ばれた奥大井湖上駅の景観などもあり、特徴ある観光路線として親しまれてきた。
もともと観光路線として利用されてきた井川線を、なぜ「観光鉄道化」したのか。ひとことでいえば、「旅行商品として販売する形に変えた」ということだ。2026年6月30日までの井川線は、運賃を支払って乗車する一般的な鉄道として営業していた。しかし、7月1日以降は原則として、募集型企画旅行商品として販売する形に変更された。
運行する列車は座席定員制(列車指定制)となり、料金は乗車区間に関係なく、1回の乗車につき一律で大人3500円、小児1750円となった。なお、上り始発と下り最終列車については、従来通りの運賃で利用できる一般車両を連結。また、沿線住民向けには「井川線沿線住民パス」を新設し、観光客以外の地域住民にも配慮した形としている。
一方、大井川本線の普通列車、EL急行列車、きかんしゃパーシー号、きかんしゃトーマス号は今回の観光鉄道化の対象外である。これらは従来通りの形で利用できるとしている。