なぜ「ホンダ系」「日産系」が手を組むのか――主役は部品会社へ? EV部品1万点時代に進む自動車産業の構造変化とは
「系列」の枠組みを崩す新たな水平提携

このようなグローバルな競争環境の激化を受け、ホンダと日産は2024年3月に戦略的パートナーシップ検討の覚書を締結し、同年8月には次世代SDVプラットフォームの基礎的要素技術に関する共同研究契約を結ぶなど、知能化・電動化に向けた連携を急速に深めてきた。中長期的なEV向けバッテリーの仕様共通化や相互供給、e-Axleの共用化など、広範なリソースの融合を進めている。
これにともない、自動車産業は各部品を外部の専業サプライヤーから調達する
「水平分業型」
への転換が進んでいる。今回のアステモとジヤトコの協業検討で重要なのは、サプライチェーンの同じ段階にある企業同士が協力する水平統合(水平的提携)の動きである点だ。
アステモは、日立製作所、ホンダ、JICキャピタルの共同出資会社であり(資本構成変更の実行は2026年度第3四半期末までに予定)、電動パワートレインや車両制御など幅広い技術を持つメガサプライヤーである。一方のジヤトコは、日産が75%、三菱自動車が15%、スズキが10%を出資し、変速機などの駆動系技術で実績を積み重ねてきた。
重要なのは、両社にはすでにビジネスの土台が存在するという点だ。2022年10月、アステモは、ジヤトコが日産のEVや「e-POWER」向けに供給を予定する電動アクスル用として、高効率・低損失なモーターとインバーターを受注している。ジヤトコが自社の強みである小型で静粛性の高いギアボックスと、アステモのモーター・インバーターを組み合わせ、システムインテグレーターとして日産にトータルパッケージを提供する関係が構築されていた。
今回のデジタル技術を活用した次世代車開発における協業検討は、この物理的な部品供給の関係を土台とし、ソフトウェアやデジタル領域を含めた高度な技術連携へと踏み込むものと位置づけられる。水平統合による存在感の強化や規模・範囲の経済のメリットは、巨額の開発費用の負担軽減や開発スピードの向上に直結する。