「都心まで26分」 急浮上した神奈川県の“選ばれる街”とは?――新幹線で通える地方都市に集まる注目、交通網の進化が変える住宅選びの基準
常識を覆す小田原の台頭

日本社会では、東京圏への人口流入が長く続いており、近年は郊外から都心のマンションへ移り住む都心回帰の動きも目立っていた。しかし、「都心に近いほど価値が高い」という、長年住宅市場を支えてきた考え方に変化が見られるようになっている。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOMES」が、掲載物件のページビュー数と資料請求数を基に算出した「2026年上半期 新築マンション人気ランキング」(2026年7月6日発表)では、全国1位に選ばれたのは東京都心や横浜中心部の物件ではなく、神奈川県小田原市に誕生したタワーマンション「レーベン小田原 SKYS THE TOWER」(MIRARTHホールディングス、東京建物)であった。
エリア最高層となる19階建ての規模感や、さまざまな暮らし方に対応する多様な間取りが、地方にある新築マンションの印象を変える魅力として評価され、多くの反響を集めている。
前回の年間ランキング(2025年版)では、首都圏の10物件が上位を占めていた。一方、今回の全国トップ10には大阪や京都の物件が3物件入るなど、人気は大都市圏だけにとどまらなくなっている。
2位には前回に続き横浜市の「ブランズタワー横浜北仲」(東急不動産、京浜急行電鉄)が入り、2年続けてトップ3入りを果たした。3位には大阪市都島区の「リバーガーデン都島」(リバー産業)が選ばれた。
同物件は、梅田へ直通6分という交通利便性に加え、同区では14年ぶりとなる地上20階建ての規模を備えている。また、省エネルギー性能に優れた「ZEHマンション」と「低炭素建築物」の認定を取得するなど、環境への配慮も評価されている。
小田原をはじめとする地方都市の人気上昇は、住居費の負担や価格面だけでは説明できない。戦国時代には後北条氏の城下町として、江戸時代には東海道最大の宿場町として発展した小田原は、近年では人口が20万人を割り込む局面もあった。
しかし現在、高速鉄道網の利便性を生かすことで、日々の暮らしを支える拠点としての役割を広げている。これまでビジネスや観光の通過点として見られることが多かった新幹線停車駅が、住環境を支える基盤として機能し始めている。
都市間を結ぶ移動インフラの発展は、これまでの都心集中型の構図を変え、より広い範囲で新たな経済圏や居住圏の形成を後押ししている。