単なる「東京の下町」じゃなかった? 江東区北部のエリアが“即決される街”へ変貌したワケ――なぜ都心人気エリアを抑えて激戦区の1位になったのか

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東京の賃貸市場でブランド序列の変化が起きている。イタンジの2026年調査によると、契約の即決スピードを競う激戦区首位に江東区亀戸が浮上。不動産テックの普及でサイトアクセス数が前年同月比157%に急増する中、住宅需要はイメージ先行から移動効率を重視する実効的指標へと移行しつつある。

交通利便性と生活環境の両立

亀戸駅の位置(画像:OpenStreetMap)
亀戸駅の位置(画像:OpenStreetMap)

 賃貸激戦区の上位に入った亀戸、大島、南大井の3エリアは、いずれも都心や広い範囲へ移動しやすい鉄道網と、大型商業施設や生活に必要な施設が近くに集まる街並みを備えている。

 ランキング1位となった江東区北部の亀戸は、東西南北を旧中川や横十間川などの河川に囲まれた地形にあり、繁華街、オフィス街、商店街、住宅街が共存する。約6万2000人(2023年時点)が暮らすこの街は、横十間川を挟んで隣接する錦糸町(墨田区)とともに

「錦糸町・亀戸副都心」

に指定され、通勤時間帯には都心方面から人の流れもある。JR東日本の総武線(各駅停車)と東武亀戸線が乗り入れる亀戸駅は、路線バスも集まる東京東部の交通拠点となっている。駅の利用者は地元住民だけでなく、バスや東武線へ乗り換えて近隣へ向かう人も多く、広い地域を結ぶ役割を担っているのだ。

 こうした地域が需要を集める背景には、公共交通を中心に街づくりを進める公共交通指向型開発(TOD)や、暮らしに必要な機能を近い範囲に集めるコンパクトシティの考え方があるだろう。

 亀戸には駅ビル「アトレ亀戸」が直結し、サンストリート亀戸跡地には大型複合商業施設「カメイドクロック(KAMEIDO CLOCK)」が開業した。それに加え、「亀戸十三間通り商店街」や「亀戸中央通り商店街」「五ノ橋豊国通り商店会」など、歴史ある商店街も多く残り、それぞれににぎわいを見せている。

 こうした新旧の商業施設に加え、亀戸駅東口から竪川を渡って大島緑道公園へ続く歩行者専用道路「亀戸緑道公園」も整備されており、日々の買い物や移動を地域内で済ませやすい環境が整っている。

 亀戸の南に隣接し、2位となった大島は、都営地下鉄新宿線の西大島駅、大島駅、東大島駅が東西を結び、都心へ移動しやすい。中でも大島駅は急行停車駅で、移動時間を抑えやすい。地域内には2892戸を擁する大島六丁目団地をはじめ、大規模な集合住宅が集まり、人口密度の高い住宅地を形づくっている。

 また、新大橋通り、明治通り、丸八通りといった幹線道路が通り、路線バスも充実している。1位の亀戸と2位の大島が隣り合うことで、鉄道による都心への移動と、自転車や電動キックボードなどによる地域内の移動を組み合わせやすい生活圏が広がっている。こうした移動手段が駅から目的地までを補うことで、大島から亀戸の商業施設も利用しやすくなり、日常の行動範囲が広がっているのだ。

 3位の品川区南大井は、京急本線の大森海岸駅があり、北側では立会川駅(急行停車駅)も利用できる。さらに南西にはJR京浜東北線の大森駅が近く、複数の鉄道路線を使える環境にある。第一京浜(国道15号)や首都高速道路の鈴ヶ森出入口もあり、道路を使って羽田空港などへ向かいやすい。大森駅と大森海岸駅は最短で約700mの距離にあり、この周辺には「大森ベルポート」をはじめとするオフィスビルが集まる。

 一方で、大森駅周辺には駅ビル「アトレ大森」やイトーヨーカドーなどの大型商業施設、バスターミナルがあり、幹線道路沿いにはマンションなどの住宅地も広がる。働く場、買い物の場、住まいが近い範囲に集まった街となっている。

 上位30位を見ると、江東区、大田区、品川区、新宿区が多くを占める。通勤しやすい交通網と暮らしやすさを備えた住宅地が広く分布し、都心に近いだけでなく、複数の鉄道路線や幹線道路を利用できる環境が整っている。同時に、買い物や余暇を近くで済ませやすい点も共通している。移動しやすさと暮らしやすさを兼ね備えた街に、人が集まる傾向が強まっているのだ。

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