なぜ今、タクシーから「現金」が猛烈な勢いで消えているのか? 「現金じゃないとダメですか?」 23ポイント減が映す、乗客の新たな選択基準

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2年間で現金決済が23ポイント急減し、主要業種で最も激しくデジタル化の波が押し寄せるタクシー産業。アプリ配車やスマホ決済の浸透は顧客体験(CX)を劇的に進化させ、今や支払いやすさが最大の競争条件となった。手数料負担や情報格差の課題を抱えつつ、構造転換を加速させるモビリティ経済の今に迫る。

顧客に選ばれる新たな競争条件

決済動向2026年調査(画像:インフキュリオン)
決済動向2026年調査(画像:インフキュリオン)

 タクシー業界では、これまで車両の快適性や配車のしやすさ、安全性などが競争力を左右してきた。そこへ近年は、どの決済手段に対応しているか――という要素が加わりつつある。

 さらに、利用者が求める決済手段のトレンドも常に移り変わっている。本調査では、これまで右肩上がりだったコード決済の利用率が71%となり、2019年に調査対象に含めて以来、初めて減少に転じた。一方で、20~29歳の若年層ではブランドデビットの利用率が42%と全年代で最も高く、増加傾向を維持している。

 Z世代(1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代)をはじめとする次世代の顧客を取り込むには、特定の決済アプリだけに依存するのではなく、多様な決済インフラへの網羅的な対応が今後の競争力を左右する強力な裏付けといえるだろう。

 もちろん、デジタル化の裏側には、プラットフォーマーの市場寡占や情報格差の是正、手数料負担など、業界全体で取り組むべき多角的な課題が存在する。今回の調査は、現金利用の減少という数字だけを示したものではない。利用者の支払い方法の変化が、事業者の設備投資やサービス提供のあり方、ひいては社会的責任の果たし方にも影響を及ぼし始めていることを示すデータでもあるのだ。

 もっとも、調査結果だけで将来の姿を断定することはできない。現金利用は今後も一定程度残る可能性があり、地域や利用者層によって最適な対応は異なるだろう。

 それでも、業界のデジタル・トランスフォーメーションが顧客体験をかつてない水準に引き上げていることは紛れもない事実だ。タクシーが「どのように支払えるか」というCXの質で選ばれる時代に入りつつあることは、今回の調査が示した最も重要な変化といえそうだ。

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