なぜ今、タクシーから「現金」が猛烈な勢いで消えているのか? 「現金じゃないとダメですか?」 23ポイント減が映す、乗客の新たな選択基準
2年間で現金決済が23ポイント急減し、主要業種で最も激しくデジタル化の波が押し寄せるタクシー産業。アプリ配車やスマホ決済の浸透は顧客体験(CX)を劇的に進化させ、今や支払いやすさが最大の競争条件となった。手数料負担や情報格差の課題を抱えつつ、構造転換を加速させるモビリティ経済の今に迫る。
急加速する現金離れの背景

変化しているのは決済手段だけではない。調査では、できるだけキャッシュレス決済を利用したいと考える人が全体の64%を占めた。そのうち59%は、キャッシュレス決済に対応していない店舗の利用を避けると回答している(常に意識して避けている(10%)、なるべく避けるようにしている(19%)、たまに避けることがある(30%)の合算)。
設問は店舗利用について尋ねたものであり、タクシーを直接対象にしたものではないが、タクシーも対面サービスのひとつである以上、利用者の選択行動が全く無関係とは考えにくい。
配車アプリの普及もあり、利用者は乗車前から車両を選択できる場面が増えている。実際、タクシー配車アプリは乗客と運転手を結びつける仲介型のプラットフォームとして機能し、利用者の顧客体験(CX)を劇的に向上させている。
アプリ上での簡単な操作で配車が完了し、到着予想時刻や目的地までの料金目安が事前に可視化されることで、利用者は待ち時間を有効活用できるようになり、見えない無駄な時間を削減できる。さらに、クレジットカード情報を事前登録する自動決済機能により、車内での煩わしい支払い手続きが不要となった。法人契約プランであれば経費精算の手間削減も可能となる。
こうしたプラットフォームは、利用者と供給者が増えるほど利便性が高まるネットワーク外部性の恩恵を受ける。対応タクシーが多いアプリほどマッチングの精度とスピードが向上するため、運賃だけではなく決済の快適さまで含めた利用体験の質が、乗客から選ばれるための強力な条件になりつつあるのだ。