EVが「26万人の命」を救った? もはや「CO2削減」だけで測れない電動化の価値! 変わり始めた自動車の評価基準とは
中国で26万人の早期死亡を防いだとの推計は、EVの価値を温暖化対策から公衆衛生へと拡張させた。新車販売の過半が電動化する中、企業の主戦場は車両販売からスマートシティなどのインフラ、そしてLCAを巡る覇権争いへシフト。ESG投資を引き込む新たな生存戦略と、ライフサイクル全体の課題を解き明かす。
環境対策を超えたEVの新たな価値

電気自動車(EV)を巡る議論は、これまで地球温暖化対策やCO2削減を中心に進められてきた。しかし中国を対象とした最新の研究は、EV普及によって大気汚染物質が減少し、約26万人の早期死亡を防いだと推計した。米国でもEVの増加にともなう大気汚染物質の低下が確認されている。
これは、地球規模の環境対策という枠組みを超え、都市環境の改善や公衆衛生の向上といった、地域社会に直結する価値がEVに備わりつつある流れを示している。自動車産業は移動手段を提供する製造業という範疇を超え、都市の居住性を高める社会インフラとしての役割を広げている。
一方でEVは製造段階でエネルギーを必要とし、充電に使用する電力の発電由来によっては温室効果ガス排出をともなうなど、ライフサイクル全体における影響が注目されている。最新の研究結果を手掛かりに、EV普及がもたらす環境変化と、周辺産業へと拡大する新たな課題を整理する。