「街の本屋は、このまま消えてしまうのでしょうか?」 出版ディストピアが迫る流通改革、「4割赤字」から始まる出版サプライチェーン再編

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物流の2024年・2028年問題を背景に書籍取次の配送費が約2倍に高騰する試算のなか、書店の約4割が赤字経営に陥っている。戦後約70年維持された固定的な利益配分モデルは限界を迎え、直接取引やオンデマンド印刷などサプライチェーンの転換が始動した。新たな流通モデルの展開を解説する。

雑誌混載崩壊と利益配分の見直し

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 出版流通は、多数の出版社から集めた書籍を取次が全国の書店へ集約・配送するネットワークによって成立してきた。かつての出版物流は、定期刊行され大量に流通する雑誌を満載したトラックに書籍を混載し、低廉な配送料金を実現していた。この仕組みは長年機能してきたが、近年の紙の雑誌の売上減少によりトラックの積載率が低下し、従来の配送効率を維持することが困難になっている。

 構造変化の象徴として、大手取次の日本出版販売(日販)は2025年2月をもってローソンおよびファミリーマートへの雑誌配送から撤退した。業務を引き継いだ同業最大手のトーハンの対応は、個別企業の競争を超え、出版流通網というインフラを維持するための協調という性格を持つ。同時に、深夜や早朝に全国を巡る雑誌配送網の縮小は、コンビニエンスストア全体の配送システムや過疎地の共同物流など、周辺の地域物流にも影響を及ぼしている。

 運賃高騰が避けられない環境下で、コスト負担構造を見直す動きも本格化している。1950年代から続く運賃込み正味制のもとで取次が運賃実費を負担してきた仕組みや、売れ残った商品を返品できる委託販売制度にともなう往復輸送、さらには再販売価格維持制度による定価販売原則は、コスト転嫁の障壁となっていた。各事業者が自社の慣習や利益を維持しようとする行動が、結果として流通インフラの持続性を損なう事態を招いていたが、課題認識の共有が進み、利益配分の見直しに向けた協議が始まっている。

 書籍価格を引き上げ、増収分を取次や書店へ振り向ける構想は、サプライチェーン全体で物流の適正価格を支えるための分配方法の見直しを示す。実際、大手書店を中心に、現状の22%から書籍販売の粗利益率30%を目指す制度改革の動きも表面化した。適正な利益配分に向けた協議は、インフラを持続させるための具体的な段階に入っている。

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