なぜ川崎市は「横浜市営地下鉄」計画を受け入れるのか? 延伸含む1500億円規模の越境交通、採算見直しの行方とは
横浜市営地下鉄の新百合ヶ丘延伸が正念場を迎えた。工事費高騰で約1500億円に上る事業は採算性の見直しを迫られ、2030年開業は延期へ。横浜・川崎が1対1で費用を分担する『越境延伸』の裏で、需要創出や運行収支の行方はどうなるか。今年度中に示される新計画案を前に、その深層に迫る。
採算性確保に向けた両市の沿線開発連携

話は冒頭の横浜市長の発言に戻る。ここで気になるのは、
・採算性を確保するため事業計画の見直し
・沿線の土地利用誘導による需要の創出
といった部分である。前述の事業化判断報告では、「同事業は整備効果、延伸区間の費用対効果及び採算性が認められる」とされており、累積の収支不足は25~30年で解消される見通しが示されていた。「採算性を確保するため事業計画の見直し」という点については、この事業に限らず、最近の工事費の上昇などが背景にあると考えられる。
一方で、「沿線の土地利用誘導による需要の創出」は、大手私鉄が沿線開発と一体で進めてきた手法に近い発想である。ただし横浜市は民間企業ではなく地方自治体であり、自ら開発を行うというよりは、制度や政策を通じて開発を後押しする立場になるとみられる。この場合の「沿線」が横浜市内だけを指すのか、それとも川崎市側も含むのかははっきりしない。
いずれにしても、鉄道を運営する横浜市と、それを受け入れる形となる川崎市が、沿線の開発でどう歩調を合わせるのかが注目される。