なぜ川崎市は「横浜市営地下鉄」計画を受け入れるのか? 延伸含む1500億円規模の越境交通、採算見直しの行方とは

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横浜市営地下鉄の新百合ヶ丘延伸が正念場を迎えた。工事費高騰で約1500億円に上る事業は採算性の見直しを迫られ、2030年開業は延期へ。横浜・川崎が1対1で費用を分担する『越境延伸』の裏で、需要創出や運行収支の行方はどうなるか。今年度中に示される新計画案を前に、その深層に迫る。

湘南台延伸における藤沢市の費用負担

高速鉄道3号線の延伸路線概要(画像:横浜市)
高速鉄道3号線の延伸路線概要(画像:横浜市)

 同事業が注目されている理由のひとつは、山中市長が

「川崎市と連携しながら」

と述べているように、横浜市営地下鉄が川崎市側へ延びる越境延伸である点だ。こうした越境路線では、建設費や開業後の運営費をどう分けるのかについて、両市の間でどのような取り決めがあるのかという疑問が生じる。

 自治体が運営する地下鉄が、他の自治体へ路線を延ばす例は珍しくない。東京都営地下鉄は千葉県市川市まで延び、名古屋市営地下鉄は日進市、京都市営地下鉄は宇治市、大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)は堺市、東大阪市、吹田市、守口市、門真市、八尾市などへ路線を伸ばしている。

 東京メトロは前身が国と東京都の共同出資による特殊法人であり、東京都だけが事業主体とはいい切れないが、それでも千葉県浦安市や市川市、船橋市、埼玉県和光市まで路線が延びている。

 ただし、こうした事例が多い一方で、建設費や開業後の運営費について、越境する側と受け入れる側の自治体が

「どのような割合で負担しているのか」

を示す公式資料は見つけにくい。インターネット上のAI検索でも誤りや出所がはっきりしない情報が混ざっており、扱いには注意が必要だ。

 実際、川崎市の新百合ヶ丘まで延伸計画がある横浜市営地下鉄ブルーラインも、もう一方の終点では市域を越え、1999(平成11)年に隣接する藤沢市の湘南台まで延びている。この先行事例については、みらい川崎市議会議員団が2019年発行の機関誌「麻生通信」でヒアリング結果として次の数字を示している。

 横浜市営地下鉄ブルーラインの戸塚~湘南台(藤沢市域)区間では、横浜市の資料によると延長7.4kmの建設費は1642億円である。このうち藤沢市域に関わる地方自治体の補助負担は、

・神奈川県:3分の2
・藤沢市:3分の1

とされている。区間全体のうち藤沢市側に対応する建設費の内訳は明らかになっていないが、藤沢市が横浜市営地下鉄の整備に一定の負担を行ったことは確かだろう。

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