「ベテランが辞めたら仕事が回らなくなりました」 なぜ物流現場は“属人化”から脱却できないのか? 人手不足倒産37件が示す依存リスクとは

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人員不足率が15.9%へ倍増する見込みの物流業界。中小が98.9%を占める現場ではベテランへの依存が深刻だ。だが、2026年5月に37件と最多を記録した人手不足倒産が示す通り、主要人員の離脱は即座に現場を麻痺させる。巨額のデジタル投資に頼る前に、現場の経験を言葉にして挑む「標準化」の現実解に迫る。

物流現場における属人化の実態

倉庫で働くシニアの男性作業員のイメージ(画像:写真AC)
倉庫で働くシニアの男性作業員のイメージ(画像:写真AC)

 物流業界では人手不足が深刻になっている。こうした中、現場では特定のベテラン社員の経験や勘に頼る「属人化」が今も珍しくない。しかし、属人化の危うさは以前から指摘されてきたにもかかわらず、多くの現場で改善は進んでいないのが実情だ。

 なぜ物流企業は属人化の危険性を理解しながら、それを改められないのか。そして、ベテラン社員の退職は現場にどのような影響を及ぼすのか。物流現場の実態と、その背景にある事情を追った。

人手不足によるベテラン依存の現実

「人手不足」――この4文字に、「もう聞き飽きた」と感じるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。それでも現実は変わらない。日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995(平成7)年の8716万人をピークに減少へ転じ、2020年には7509万人まで減っている。

 社会を支える物流の現場でも、人手不足は深刻だ。日本倉庫協会が2024年12月に公表した資料によると、営業倉庫の現在の人員不足率は全体で7.5%だが、おおむね今後5年以内に見込まれる離職者数を踏まえると、

「15.9%」

まで倍増するとされている。人手不足は、中小物流企業の経営者にとって頭の痛い問題だ。求人を出しても応募は少なく、採用しても長く続かない。理由は作業内容や賃金だけではない。交通の便が悪い立地や深夜勤務など、働く条件も影響している。作業員の負担を減らすための設備投資には費用がかかり、賃金を上げれば経営を圧迫するおそれもある。

 本稿で取り上げるのは、ここから先の問題だ。人手不足が進み、限られた人数で業務を回す状況が続くと、新人教育やOJTは後回しになりやすい。その結果、特定のベテラン作業員しか対応できない仕事が増え、属人化が進んでいく。物流現場の属人化は、

「経営者の管理不足」

という見方だけでは説明できない。人手不足の中で仕事を回し、会社を維持するために、その形を選ばざるを得なかった面がある。いまの物流業界が抱える課題をよく表した問題といえる。

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