都内マイカー所有者84%が「手放さない」選択――モビリティ革命はなぜ「所有」を崩せないのか?

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モビリティ革命にともなう脱・所有の予測に反し、都内オーナーの84.2%がマイカー堅持を志向している。高コストな都市部で車が手放されない背景には、私的空間の確保や61.0%が求める自己表現といった非代替価値がある。シェアとの消耗戦を越え、機能の再配分から生まれるモビリティ市場の未来を追う。

独立した私的空間への需要

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 キングスロード(愛知県小牧市)が行った都内在住のマイカー所有者330人への調査(2026年7月2日発表)によると、今後モビリティサービスが普及しても、84.2%が現在の車を持ち続けたいと答えている。

 数分単位で使えるシェアリングインフラは便利だが、不特定多数が乗り合う公共空間としての側面を持つ。都内の高い維持費を払ってでも自家用車を手元に置きたがる背景には、他者の目を気にしなくてすむ独立した空間を都市の生活圏に持ちたい、という根強い思いがあるようだ。

 文化人類学者エドワード・T・ホールの分類によれば、人は見知らぬ他者と同乗する際、相手の姿が見えても触れ合わない社会距離(1.2m~3.5m)や個体距離(45cm~120cm)を保とうとする心理が働くという。

 新しいサービスが広がるほど、他者の介入を許さない完全に私的な移動空間の価値は高まっていく。これは他社との差別化という次元にとどまらず、人が本能的に求める安心感と深く結びついているだろう。

 実際の利用目的を見ると、日常の買い物(80.0%)が最も多く、ドライブ・レジャー(63.3%)、趣味活動(52.1%)と続く。通勤や通学に使っている割合は21.5%にとどまった。

 買った荷物をそのまま積んでおける手軽さ。あるいは、急な家族の送迎(44.9%)にすぐ動ける身軽さ。事前の予約や手続きなしで思いのままに移動できる体験が、日常の自由度を支えている。

 車を持ち続ける理由を尋ねると、移動手段としての利便性(43.0%)が目立つものの、家族の利便性・安全性(27.0%)、カーライフそのものが趣味(8.5%)、愛着(7.9%)、自己表現の手段(3.9%)と、答えは多岐にわたる。

 自分の車を持つことは、お金の計算だけで割り切れるものではない。時間の使いやすさや趣味としての楽しみが幾重にも交わった選択の形だ。だからこそ、シェアサービスが移動の足を一部肩代わりしたとしても、両者は対立することなくそれぞれの領域を広げているのだろう。

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