「開発に1か月なんてかけられない」――日産自動車はなぜ「AI」「クラウド」へ動くのか? 変わるクルマ開発の競争軸とは
クルマの価値がソフトへ移行する中、開発現場でAIとクラウドを駆使した速度競争が加速している。日産自動車は2026年度に向け、従来1か月以上を要した開発プロセスを数時間へ短縮するAI体制を整備、テスト時間を75%削減する。外部インフラを活用しつつ自社の強みを囲い込む戦略が、次世代の競争を形作る。
進化する車両開発の現在地

自動車の価値は、工場から出荷した時点での完成度だけでなく、販売後もソフトウェアを通じて機能を更新し続けることで高まるようになっている。こうした事業モデルの変化にともない、車両開発の各工程へAIを取り入れ、高度化する開発を効率よく進める取り組みが広がりつつある。
日産自動車は2026年6月24日、車載ソフトウェアの開発工程にAIを本格導入する方針を発表した。自動運転や車内機能を継続的に更新するため、2026年度中にAIを中心とした新たな開発体制を整える計画だ。
近年、自動車メーカーは車両開発の内製化を進めている。ただし、これはすべての部品を自社で生産する従来の垂直統合へ戻ることを意味しない。インフラ基盤などの共通技術は外部の仕組みを活用し、自社独自の車両制御や利用者への価値向上に経営資源を集中させる動きが進んでいる。
競争力を維持するには、外部のクラウド基盤などと連携しながら開発環境へAIを取り入れ、車両開発の進め方を高めていく力が求められているのだ。