「関西の大手私鉄では最後の移行です」 本業比率43.8%の老舗が社名からHDを外した真意とは?
関西大手私鉄で最後に持株会社化したNANKAI。運輸業比率が43.8%と高い一方、不動産業が19.5%にとどまる同社にとって、沿線開発は巨大な成長余力を意味する。乗降者数がコロナ前比123%に回復したりんくうエリアのまちづくりを自ら主導。あえて「HD」を名乗らず、事業構造転換へ挑む新体制の戦略に迫る。
子会社鉄道との横並びの関係

これに対し、京阪ホールディングスは純粋持株会社ではなく、不動産賃貸業なども手がける事業持株会社だ。ただ、公式サイトでは事業内容を
「グループ経営に関する事業など」
としている。純粋持株会社ではなく事業持株会社という点では、NANKAIは阪急阪神ホールディングスや近鉄グループホールディングスよりも、京阪ホールディングスの体制に近い。
ただ、NANKAIは公式サイトで事業内容を「不動産開発事業、不動産賃貸事業、その他事業」としており、持株会社としての役割よりも、不動産事業などを自ら担う事業会社としての性格を前面に出しているように見える。持株会社と事業会社は組織上では上下の関係にあるが、公式サイトではNANKAIと南海電気鉄道を
「並ぶ存在」
として示している点が印象に残る。トップメッセージでは、NANKAIは不動産事業の拡大と競争力の強化に加え、鉄道と不動産に続く新たな事業の創出(未来探索)に力を入れ、「まちづくり」を進めるとしている。一方、南海電気鉄道は経営の機動性を高め、意思決定を速めることで、持続的な成長を目指すとしている。
公式サイトを見るかぎりでは、ふたつの中心となる事業会社が並ぶ形になっている。冒頭で触れたまちづくりの取り組みも、NANKAIが自ら担う事業という位置付けだ。NANKAIが持株会社でありながら、社名にあえて「ホールディングス」を付けていないのは、事業会社としての性格を強く打ち出しているためと思われる。
なお、関東の大手私鉄では、東急電鉄が2019年に不動産事業などを直接手がける事業持株会社「東急」を発足した。一方で、不動産事業については東急不動産が純粋持株会社の東急不動産ホールディングスを別に設立しており、この点はNANKAIとはやや異なる。