「あの時、経営統合しなくてよかった?」――ホンダ・日産が2029年へ再び手を組む理由! テスラ・BYDが先行するSDV時代、日本メーカーは何で競うのか
ホンダと日産が2029年にも次世代車「SDV」の中核部品を共通化する。2025年3月期に約7500億円の最終赤字を見込んだ日産の苦境や巨額の投資負担を背景に、統合白紙を経て両社が選んだのは資本に頼らない「水平分業」だ。米中勢が先行するサービス化への大転換期に、日本連合が放つ新戦略の全貌に迫る。
ホンダ日産のECU共通化と米中対抗

ホンダと日産自動車が、ソフトウェアで車の機能を更新・制御するソフトウェア定義車両(SDV)の中核部品である電子制御ユニット(ECU)の共通化に向け、最終調整に入った。2029年にも、この部品を搭載した車両を実用化する方針だ。経営統合は白紙となったものの、共同開発による量産効果を生かして開発費や調達費を抑え、SDV開発で先行する米国や中国のメーカーに対抗する狙いがある。
今回の取り組みは、経営統合ではなく、車両開発の一部に対象を絞った協業である点が特徴だ。両社は2024年3月に知能化や電動化に向けた協業の検討を始め、経営統合の協議も進めた。しかし、ホンダが大幅な事業改革を求めたのに対し、日産は対等な関係を重視したため協議はまとまらず、2025年2月に計画は白紙となった。それでも、次世代車の開発には多額の投資が欠かせないことから、電気自動車(EV)や知能化の分野では協業を続けることで一致しており、今回のECU共通化は、その協業範囲を広げる取り組みといえる。
背景には、自動車メーカーの競争のあり方が変わってきたことがある。これまで強みとされてきたのは、エンジンや車体、生産技術などのハードウェアだった。しかしSDVの時代には、車全体を細かく制御し、購入後も通信を通じたソフトウェア更新で性能を高め続ける力が競争力につながる。今回の動きは、すべての技術を自社だけで担うのではなく、他社と協力する分野と独自性を競う分野を切り分ける考え方が広がっていることを示している。