なぜ今、「滑らない客」がスキー場に歓迎されるのか?――7579票から見えてきた“休日争奪戦”の現在地
ランキングが示す滞在体験への転換

スキー場の競争力は何によって決まるのだろうか――。
かつてであれば、豊富な積雪量やコースの多さ、上級者向け斜面の充実度などがその代表的な指標だった。しかし、スキー場情報サイト「SURF&SNOW」が同サイト上で行ったウェブアンケート調査「SURF&SNOW SKI RESORT RANKING 2025-2026」(日本料飲外国人雇用協会、2026年6月17日発表)を見ると、これまでとは違う風景が浮かび上がってくる。
この調査は、2025~2026シーズンにスキー場を利用した10代から60代の男女を対象に、2026年2月27日から5月31日にかけて実施されたものだ。集まった投票数は7579票にのぼり、全国を北海道から西日本までの五つのエリアにわけ、次の六つのテーマで利用者の支持を集計している。
・スノーガールにおすすめ
・ゲレ食(※ゲレンデグルメ)が本気
・滑らなくても満足
・スタッフの対応
・初心者に優しい
・穴場
各エリアの傾向を見ると、「スノーガールにおすすめ」「ゲレ食が本気すぎる」「スタッフの対応が最高」といった項目では、北海道エリアのルスツリゾートや東北エリアの星野リゾート ネコマ マウンテン、西日本エリアのグランスノー奥伊吹などが高く評価された。また、「滑らなくても満足できるスキー場」としては、関東エリアの草津温泉スキー場や甲信越エリアの野沢温泉スキー場など、風情ある温泉街を抱える施設が1位を獲得している。「初心者にどこまでも優しい」「推したい!穴場」といった部門でも、名寄ピヤシリスキー場やたんばらスキーパーク、スノーリゾート ロマンスの神様、ひだ流葉スキー場などが各地でトップに選ばれた。
注目すべきなのは、これらの評価軸の多くが滑走性能ではなく、現地での「滞在体験」に関わる点だ。斜面という具体的な役割から、食や接客、周辺環境を合わせた総合的な空間価値へと、観光目的地としての評価基準が移り変わっている。
こうした動きは、現在のモビリティ産業が直面している変化とも深く重なり合う。かつての自動車が馬力や最高速度といった走行スペックで語られた時代から、今は車内空間の快適性や移動中のデジタル体験が重視されるようになった。同じように、スノーリゾートに求められる価値も、移動の終着点という枠を飛び越え、そこでの時間をどう楽しむかという方向へ動いている。
ランキングの投票結果には、移動の手段と目的地がともに体験を重んじる方向へ歩調を合わせているという、確かなシグナルが含まれているといえそうだ。