修理待ち「1年以上」が約2割――旧車オーナーを直撃する「部品難」「整備士ロス」の現実、需給不均衡を解消できるのか

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クラシックカーが「動産資産」として脚光を浴びる一方、維持インフラは危機的状況にある。オーナーの約半数が半年以上の修理待ちに直面し、7割超が整備環境に不安を抱く。部品枯渇や技術者不足、重税という逆境下、現場はデジタル活用や分業制で活路を見出せるか。持続可能な維持の在り方を占う、市場変容の最前線を考える。

専門家の分業が支える維持管理

クラシックカーの修理・整備に関する調査(画像:キングスロード)
クラシックカーの修理・整備に関する調査(画像:キングスロード)

 供給側が抱える厳しい制約を前に、現場では限られた資源を使い切るための知恵が広がりつつある。

 象徴的なのは、修理の工程を細かくわけ、それぞれの専門家が手を結ぶ動きだ。すべてを一か所で抱え込む旧来のやり方を改め、領域ごとに外部の熟練技能者と網の目のようなネットワークを組み、作業を分散させる形へと移っている。

 例えば専門店は、海外市場と直接つながる独自のルートを築き、自前で在庫を守る仕組みを整えた。自社ですべてを完結させることにこだわらず、特注部品の製作や、時には現行車のエンジンを流用する「スワップ」といった手法も選択肢に含め、技術と顧客の想いを最適に結びつける調整役としての動きを強めている。こうした現場の試行錯誤は、これまでの枠組みを超えた新しい協力の形を確実に浸透させている。

 もちろん、現場の歩み寄りが進んでも、構造的な課題がすぐに消え去るわけではない。13年超のガソリン車への増税といった政策的な風当たりの強さは依然として続き、次代を担う整備士を育てるにも相応の年月を要する。オーナーが1年近い待機を強いられ、腕利きの整備士が足りないと嘆く現状は、需要が供給をはるかに上回り続けていることの裏返しといえるだろう。

 ここで大切になるのは、入庫から仕上がりまでの道筋をはっきりと示し、先々の見通しを立てやすくすることにあるはずだ。市場の関心はいま、いかに早く直すかという焦りから、厳しい制約を受け入れたうえで

「いかに確実に愛車を守り続けるか」

という、持続可能な向き合い方へと変わり始めている。

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