修理待ち「1年以上」が約2割――旧車オーナーを直撃する「部品難」「整備士ロス」の現実、需給不均衡を解消できるのか
クラシックカーが「動産資産」として脚光を浴びる一方、維持インフラは危機的状況にある。オーナーの約半数が半年以上の修理待ちに直面し、7割超が整備環境に不安を抱く。部品枯渇や技術者不足、重税という逆境下、現場はデジタル活用や分業制で活路を見出せるか。持続可能な維持の在り方を占う、市場変容の最前線を考える。
部品と技術の消失を巡る供給危機

オーナーの心理をひも解くと、72.6%もの人々が修理や整備の先行きに不安を抱いている。その中身を詳しく見れば、部品が手に入らないことや価格の跳ね上がりを挙げた人が53.5%と最も多い。次いで、熟練の整備士が高齢化し、その数自体が減っていくことへの懸念が48.0%に達している。拠点の少なさや費用の高さを指摘する声も、それぞれ45.5%と根強いのが実情だ。
ここで見えてくるのは、市場の不安が「いくらかかるか」というコストの話を超え、
「そもそも直せるのか」
という供給の持続性へと向かっている現実だろう。お金を積めば解決する段階はとうに過ぎ、部品や技術という土台そのものが消えてしまうのではないか。そんな供給側の限界に対する危機感が、いまやオーナーの間で共通の認識となっている。
こうした整備を巡る苦境は、部品や人材、さらには法的な逆境が複雑に絡み合って生じている。部品の供給をたどれば、メーカー在庫はすでに底を突き、流通の網の目が細切れになっている。
さらに日本特有の事情が追い打ちをかける。登録から13年(ディーゼル車は11年)を超えた車両への重課税や、エコカー補助金にともなう廃車促進が、歴史的価値のある車両の生存を脅かしてきた。加えて、米国における「25年ルール」の適用や日本車人気の高まりにより、国内の希少な個体やパーツが海外へ流出する動きも止まらない。48.0%のオーナーが案ずる整備士の減少も、こうした車両そのものの減少という背景と無縁ではないはずだ。
手作業による膨大な手間と、効率を重視する現代の収益モデル。この両者の折り合いがつかないなかで、供給能力は限られた専門拠点へと凝縮され、現場の負荷は極限まで高まっている。