修理待ち「1年以上」が約2割――旧車オーナーを直撃する「部品難」「整備士ロス」の現実、需給不均衡を解消できるのか
クラシックカーが「動産資産」として脚光を浴びる一方、維持インフラは危機的状況にある。オーナーの約半数が半年以上の修理待ちに直面し、7割超が整備環境に不安を抱く。部品枯渇や技術者不足、重税という逆境下、現場はデジタル活用や分業制で活路を見出せるか。持続可能な維持の在り方を占う、市場変容の最前線を考える。
資産化する旧車と深刻な需給ひっ迫

自動車産業が電動化やデジタル化の波に洗われるなか、物理的な機構を剥き出しにするクラシックカーは、希少な動産資産としての存在感を高めている。日本で「旧車」や「ヒストリックカー」といった言葉に明確な年式の線引きはない。それでも、日本クラシックカー協会がイベントの参加基準とする「1975年以前の生産」という枠組みは、愛好家にとってひとつの目安となっている。市場の裾野が広がる一方で、その価値を支えるはずの維持インフラは、かつてない需給の不均衡に陥った。ローバーミニの専門店、キングスロード(愛知県小牧市)がオーナー273人を対象に行った調査によれば、入庫待ちが「1年以上」に及ぶケースは16.9%に達する。「6ヶ月以上1年未満」(16.9%)や「3ヶ月以上6ヶ月未満」(18.3%)を合わせれば、全体の約半数が半年以上の待機を強いられているのが実情だ。
修理というプロセス自体が、もはや長期間の待機を前提とした構造に変わってしまったといえる。クラシックカーはいま、個人の所有物という枠を抜け出し、長い維持管理のサイクルと地続きにあるモビリティ資産としての道を歩み始めている。