エレベーター停電に「EV」から給電 日立、災害時対応へ2022年中の実用化目指す

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広域災害などで停電が発生した際、電気自動車とビルをつなぐことによってエレベーターなどに給電を行うシステムが、2022年中にも実用化される見通しだ。

低速運転で最大10時間運転

電気自動車からの給電の模様(画像:日立ビルシステム)
電気自動車からの給電の模様(画像:日立ビルシステム)

 日立ビルシステムは、広域災害などで停電が発生した際に、電気自動車とビルをつなぐことによって電気自動車からエレベーターなどのビル設備に給電を行うシステムを開発した。災害時にもエレベーターなどの継続利用を可能とする。

 同システムにはV2X(Vehicle to X)と呼ばれる、自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術が用いられている。

 停電発生時、V2X対応充放電装置であるハイブリッドPCS(太陽光発電設備用と蓄電池用の2つの直流交流交換装置を一体化した装置)を使用し、エレベーターなどビル設備の電源を電気自動車からの給電に切り替える。同時にエレベーターを分速30mの低速運転に変更する制御を行うもので、最大10時間程度エレベーターを継続運転させることを可能にする。

 2022年中の実用化に向け、ビルソリューションの研究開発などを行う亀有総合センター(東京都足立区)に本システムを導入しており、今後、実証を進めていくとしている。

 同システム開発の背景にあるのは、近年の広域災害による大規模停電の発生と、それに伴う社会インフラの長時間の機能停止という社会課題だ。

 高層ビルやマンションなどエレベーターが不可欠な建物において、非常時電源として太陽光発電設備や蓄電池などを整備し災害対応策を強化するニーズが高まっている。

 日立ビルシステムは日立製作所とともに、大規模地震など広域災害時の復旧対応体制の強化や、エレベーターなどのビル設備への影響を低減する機能・サービスの開発、提供を継続的に進めている。

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