「塗装ミスではない」 工場に並ぶ航空機が“緑色”な理由とは? 製造現場に隠れた常識
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ボーイングやエアバスの製造現場で機体を覆う緑色の正体は、六価クロム系プライマー。腐食からアルミ合金を守る一方、規制強化で非クロム化への転換が進み、航空機生産は安全と環境の狭間で岐路に立つ転換期にある
非クロム化で変わりゆく空の風景

工場に並ぶ機体の色は、航空機を錆から守る防食技術、いわば材料工学の結晶といえる。この独特の色味は、製造プロセスを最適化しようとしてきた歴史の産物だ。
主成分であるクロム酸亜鉛の使用は、深刻な課題を突きつけている。環境や健康への負荷が極めて高く、代替技術への切り替えが世界的な命題となっているのだ。とはいえ、空の安全を何より優先する航空産業において、安易な変更は許されず、どうしても慎重な足取りにならざるを得ない。
飛行中の安全を極限まで高める一方で、その機体を生み出す過程では、環境や健康への影響を最小限に抑えるための徹底したリスク管理が求められる。航空機の緑色という外観は、この逃れられないトレードオフの象徴そのものなのである。
今後、クロムを含まない「非クロム系」のプライマーが主流になれば、その色は必ずしも緑である必要はなくなる. これまで当たり前だった風景からあの緑色の機体が姿を消す日は、そう遠くない将来に訪れるのかもしれない。