奥羽・羽越新幹線は本当に新経済圏を作れるのか? 成功条件は「50年運行」、経済成長ありきの計画に疑念

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奥羽・羽越新幹線の建設計画に注目が集まっている。実現されたら、新たな経済圏は誕生するのだろうか。

気になる建設費用と経済効果

羽越・奥羽新幹線による整備効果(画像:山形県)
羽越・奥羽新幹線による整備効果(画像:山形県)

 安い建設費で首都圏との交流が深まる路線ができたものの、ミニ新幹線では見劣りするという声は絶えなかった。

 とりわけ、北海道新幹線の開通で約700km離れた青森と東京が3時間以内で結ばれているのに対して、約360kmの山形~東京間が平均2時間40分なのは見劣りしているという意識を高めた。

 山形県と同じく、フル規格新幹線の建設に対する熱量が高いのが秋田県だ。秋田県では2016年1月に佐竹敬久知事が年頭記者会見で、国への要望を本格化させることを述べて以来、奥羽・羽越新幹線建設に向けた運動が活発化している。

 秋田県の場合、山形県と同じミニ新幹線である秋田新幹線への不満よりも

「路線延伸」

の要望が強かった。

 具体的には、現在、山形県新庄市までの山形新幹線を、大曲(秋田県大仙市)まで延伸することを求めるものだ。このようにミニ新幹線の延伸・フル規格新幹線の新設など意見は分かれている。ただ、各県ともに在来線とは異なる高規格の鉄道路線の建設を求めているわけだ。

 気になるのは具体的な建設費用である。2021年6月に「羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチーム」が発表した試算によると、奥羽・羽越新幹線を同時に複線で高架整備した場合の建設費用は5兆3500億円。単線で高架化を抑えた場合には4兆400億円となっている。

 一定期間の総便益額を総費用で割った「費用便益比」は0.47~1.08。これが「1」を超えれば経済効果が費用を上回る計算になるが、複数行われた試算によると、単線で高架化を抑えて建設し、

・50年間運行
・日本の経済成長が2060年まで継続

した場合には、経済効果が費用を上回るケースもあるとしている。

 つまり、節約して建設すれば経済効果は50年で4~5兆円となる。プロジェクトチームでは、この調査をもとに

「羽越・奥羽新幹線の整備の妥当性を確認できた」

としている。

 ただ、この試算はにわかには信じがたい。このプロジェクトチームの資料では両新幹線の整備による利用者推計を行っている。

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