全7路線を再生可能エネルギーに切り替え! 「東急」から学ぶ鉄道企業による環境対応の未来とは
鉄道施設で進む環境対応。その最前線について筆者が解説する。
脱炭素社会は一日にして成らず
先述したように、鉄道事業者は駅のほか鉄道用地を多く抱えるが、駅で太陽光発電や風力発電に取り組み、年間のエネルギー収支をゼロ以下にするZES(ゼロ・エネルギー・ステーション)化を急ピッチで進めている。
鉄道会社が環境対応に取り組んでも、それは必ずしも会社の利益に直結するわけではない。むしろ、環境対応のために車両・駅舎などを改修する費用が発生するので、経営的な収支はマイナスになる。
鉄道事業者に限った話ではないが、収支は経営を左右する大きな要素だ。一般の民間企業なら環境対応で売り上げが伸びるなら費用を投じるが、環境対応で売り上げは伸びない。そのため、無駄な支出と考えてしまうだろう。
経営的な収支から尻込みしてしまう企業が多い中で、鉄道事業者は積極的に再生可能エネルギーの導入に取り組む。それは、鉄道事業者が明治期から公営・民営を問わず公共性・公益性といった社会的な使命を課せられてきたことに起因しているからと言われる。
政府が掲げるカーボンニュートラルや脱炭素社会は一朝一夕に実現できないが、鉄道(と鉄道事業者)が大きな役割を担っていることは間違いないようだ。