全7路線を再生可能エネルギーに切り替え! 「東急」から学ぶ鉄道企業による環境対応の未来とは

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鉄道施設で進む環境対応。その最前線について筆者が解説する。

集中型エネルギーシステムの脆弱性

太陽光発電のイメージ(画像:写真AC)
太陽光発電のイメージ(画像:写真AC)

 太陽光発電と聞くと、休耕地を再活用するべく太陽光パネルを敷き詰めたメガソーラーを思い浮かべる人も少なくないだろう。実際、地方都市ではメガソーラーパネルを敷き詰めた発電施設へと転換することは珍しくない。

 大規模な太陽光発電所は効率的に発電・供給できるシステムだが、それでは従来の大規模発電所と変わらない。単に、石炭・石油火力発電所、原子力発電所を太陽光に置き換えただけにすぎない。福島第一原発事故で顕在化した集中型エネルギーシステムの脆弱性が、まったく解決されていないのだ。

 総務省は再生可能エネルギー推進の旗を振りながらも、こうしたメガソーラーに慎重な姿勢を見せた。総務省はリスクヘッジの観点から、“緑の分権改革”を提唱。緑の分権改革は、各地に小規模な再生可能エネルギーの発電所を開設することを理想として掲げた政策だった。

 緑の分権改革は広く世間に知れ渡った政策とは言い難い。そのため、その実態はほとんど伝わっていない。エネルギーの地産地消を目指した緑の分権改革は多くの政策メニューから成り立っているが、端的な例で言えば、各住宅の屋根に太陽光パネルを設置し、各家庭で消費する電気を自家生産することを支援した動きでもあった。

 しかし、個人の住宅は戸数が多くても太陽光パネルを設置できるスペースは限られている。東京・大阪といった都市部では、一戸建て住宅に居住する人口の割合は少ない。大都市では、集合住宅が多くを占めている。集合住宅に太陽光パネルを設置するには、戸建てよりもハードルは高い。大都市部の住宅事情もあって、住宅に太陽光パネルを設置することはなかなか進まなかった。

 昨今、行政や住宅メーカーは、年間のエネルギー収支をゼロ以下にする家(ZEH。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の建設を盛んに奨励しているが、その機運は盛り上がっていない。一方、官公庁舎や公共・公益性の高い私企業では、オフィスや事業用建物などをZEB化(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)する動きが活発化している。

 その先頭ランナーを走るのが鉄道だ。鉄道はたくさんの電力を消費する。それでいて公共性・公益性の高い企業と目されている。そうした事情から、鉄道事業者は早くから電気の自家調達や省エネ、再生可能エネルギーの導入に取り組んできた。

 鉄道事業者は駅舎のほかにも線路・車両基地などの鉄道用地をたくさん抱える。駅舎は多くの人が行き来する場所なので、安全面の観点から発電施設の設置は慎重にならざるを得ない。

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