全7路線を再生可能エネルギーに切り替え! 「東急」から学ぶ鉄道企業による環境対応の未来とは
鉄道施設で進む環境対応。その最前線について筆者が解説する。
配電ロスは発電量の3~4%
関西電力も福井県や富山県、長野県に発電所を所有。電力会社は必ずしも供給エリア内に発電所を有しているわけではない。エリア外に発電所を有している理由をひとつに求めることはできないが、大きな理由として大都市部には大規模な発電所を建設できる用地がない、もしくは用地が高いことがあげられる。
都市部から離れた場所なら、安価で広大な用地を確保できる。しかし、遠く離れた場所に発電所を建設することでデメリットもある。遠方地で発電した電気は、都心部へ供給される。送電の際、その距離分だけロスが生じる。
近年は技術革新によって、送配電によるロスは少なくなってきている。それでも送電・配電のロスは発電量の3~4%ある。3%という数字は小さいように思えるが、これは火力発電所の7基分の発電容量に相当する。
大量消費地に近い場所に発電所を建設すれば、それだけ送配電のロスを減らすことができる。また、福島第一原発事故によって集中型エネルギーシステムの脆弱(ぜいじゃく)性も顕在化した。
これらを踏まえ、政界や財界は発電量だけではなく、供給システムにも注目するようになっている。
環境省や経済産業省は、発電した電気をできる限り無駄にしない取り組みとして電気の地産地消を推奨した。電気の地産地消が進めば、大規模災害時のリスクヘッジになる。それと同時に送配電ロスも少なくできる。
とはいえ、電気の大量消費地は東京・大阪といった大都市で、先述したように大都市近郊に大規模な発電所を建設することは用地面から難しい。
そうした理由もあり、空いたスペースを有効活用が模索された。それが、再生可能エネルギーとして注目されるようになった太陽光発電や風力発電だった。