EV減速で「ハイブリッド回帰」は正しい選択なのか? AI特許65%を中国が握る現実、SDV戦争で揺らぐ欧米の“戦略空白”

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欧米でEV目標の後退が相次ぐ一方、HV回帰が進む。だがEVは部品点数が約3分の1とされ、開発期間も9~10か月へ短縮された事例がある。SDV競争の主導権を左右する分岐点が迫る。

物理からソフトへ、車の価値を決める転換点

自動車(画像:Pexels)
自動車(画像:Pexels)

 欧米のメーカーが、電気自動車(EV)の導入目標を相次いで引き下げている。代わって存在感を増しているのが、ハイブリッド車(HV)への回帰だ。現場での生産の停滞や、脱炭素効果への懐疑的な視線を背景に、欧米の政治情勢もHV容認へとかじを切り始めた。

 目先の収益を守り、現実的な環境対策を講じるという意味では、この判断には一定の理がある。だが、その裏側でソフトウェア定義車両(SDV)を巡る競争から脱落しかねない危機の芽が育っていることも、無視はできないだろう。

 そもそも、エンジンという内燃機関を前提とした複雑な構造と、各所に分散した電子制御ユニット(ECU)は、車両全体をひとつのシステムとして統合制御しようとする今の潮流とは、根本的に相性が悪いのだ。制御をまとめようとすればするほど、物理的な調整箇所が足かせとなり、結果として開発の自由度を奪っていく。

 つまりHVという選択は、ソフトウェアの進化を足止めする要因になりかねない。今や自動車は、移動の道具から、高度な情報処理機能を持つ存在へと姿を変えつつある。動力源を何にするかという議論を超えて、機械側の複雑さがソフトの開発スピードを縛るという、逆転現象が起きているのが現実だ。本稿では、ハードとソフトの主従関係が入れ替わるなかで起きる産業構造の変化と、HV回帰という選択がはらむ、表面化しにくい課題について考えてみたい。

 三菱UFJ銀行産業リサーチ&プロデュース部が2025年1月に出した『乗用車の価値に関する生活者調査』によれば、自家用車を選ぶ理由として

「自分の意思で操縦できる・思いのままに操れる“大人のおもちゃ”」

を挙げた人が14.7%に達した。また、カスタマイズの自由度を重視する層も9.7%存在する。

 これらは決して大きな数字ではないかもしれない。しかし、車に

・可変性
・自由

を求める声が顕在化してきたことは、見逃せない変化である。かつては部品の組み合わせといった物理的な調整で生み出されていた操縦の楽しさは、今やデジタルな演算処理によって作り出されるものになった。ハードによってあらかじめ固定された性能ではなく、

「ソフトによって書き換え可能な性能」

に価値が移っていることは、もはや疑いようのない事実なのである。

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