コロナ収束の試金石 「大型ジェット機」の運航再開、日本が後れを取っているワケ

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新型コロナウイルスの感染拡大から2年余り。大型ジェット機が再び旅客便として運航され始めている。活発化する海外の動きと、日本の現状について考える。

日本路線で需要が回復しない理由

ルフトハンザドイツ航空のボーイング747-8型機(画像:シカマアキ)
ルフトハンザドイツ航空のボーイング747-8型機(画像:シカマアキ)

 日本では、入国規制を緩和したものの、いまだ観光目的での外国人の入国を認めていない。そのため、国際線の運航便数も、以前より若干は増えてはいるものの、急増とまではいかないのが実情だ。

 一方、海外では、航空需要が急増中。入国時に2回または3回のワクチン接種を完了していれば、出発前の陰性証明すら不要の国・地域も増えている。当初はヨーロッパ諸国、今ではアジアの国・地域も旅行客が急速に増えている。

 コロナ禍で海外旅行へ行けなかった反動もあり、「やっと海外旅行ができる」というムードが広がっている。

 旅行客が増えると、コロナ禍に運航していた中小ジェット機、あるいはコロナ禍での運航便数ではとても足らなくなる。海外、特に欧米では、運航機材の大型化も行われている。空港のカウンターや保安検査場は長蛇の列となり、ターミナル内の店舗なども臨時休業はほぼない。

 航空需要の高まりにやや水を差す形となったウクライナ情勢だが、欧米方面ではあまり大きな影響は見られない。北米―ヨーロッパ間で、飛行ルートに変更がないためだ。

 影響が大きいのは、従来はロシア上空を飛行していた日本や韓国など東アジアとヨーロッパを結ぶ路線。ただ多くの欧米諸国からすると、これらの国々の需要は小さい。中国系エアラインは普段通りにロシア上空を飛行している。

 ウクライナ情勢により、さらに航空需要に影響を及ぼす可能性は否定できない。ただ、さらに多くの国・地域が今後、入国規制を緩和すると、航空需要はますます増える。

 しかも今、新型コロナの影響で次世代機の製造遅れもある。そうなると、既存の大型ジェット機はまだ一定の需要が見込まれると言えるだろう。

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