「残クレアルファード」はなぜ社会に浸透したのか?──身の丈を超えた購買を生む欲望の正体、現代思想から考える

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高級ミニバン・アルファードを巡り、500万円超の車両価格の半分以上を数年後に据え置く残価設定ローンが広がるなか、月々負担の軽さに隠れた総支払と“他者模倣”による需要拡大が議論を呼んでいる。インターネット上で論争が続く。

模倣欲望と購買行動

自動車(画像:写真AC)
自動車(画像:写真AC)

 インターネット上では、高級ミニバンのアルファードをめぐる議論が続いている。とくに残価設定ローン(残クレ)を使った購入については、自分の収入を超えた負担だとする批判と、将来の下取り価格を見込んだ現実的な選択だとする肯定的な見方が強くぶつかっている。

 ただ、こうした議論は目に見える損得に集中しており、その背後にある動きには十分に目が向いていない。この現象を理解するには、思想家ルネ・ジラールが示した模倣欲望という考え方が重要になる。

 人は車そのものを欲しているわけではない。他者がその車を持ち、満足している様子や社会的なふるまいに引かれ、その状態を自分も手に入れたいと感じている。アルファードという大きな記号は、自分に足りないと感じる価値を補うための対象になっている。他者の欲求をなぞる動きが、結果として道路沿いに特定の車種が広がっていく背景になっているのだ。

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