世界で現役バリバリ「客車列車」 でも、日本で瀕死状態なワケ

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世界の客車列車は現役だが、日本では消えつつある。そこには日本の鉄道特有の事情があった。一体何か。

かつて通勤・通学向け客車があった

模型になり今なお愛される「50系客車」(画像:トミーテック)
模型になり今なお愛される「50系客車」(画像:トミーテック)

 少し年長の鉄道好きならば、「50系客車」という車両を覚えているだろう。同車は通勤に使用されていた旧型客車の置き換え用として、1978(昭和53)年に運用が開始された。

 当時は、まだ機関車の免許を持っている人が多かった。電車と電気機関車、ディー気動車とディーゼル機関車は別々の免許で、機関車の免許を持っている人に電車や気動車の免許を再取得させるより、機関車自体が余っていたため、その機関車に客車を連結してけん引させたほうが当時としては都合がよかった。

 そんな時代に50系客車は生まれた。2扉、ドア付近をロングシートとしたセミクロスシートの車両で、地方幹線の通勤・通学輸送に使用されていた。この時代に客車列車が導入されたのは、郵便や荷物の輸送車両と併結するためであり、事実、50系客車ではそのための車両も製造された。

 しかし、1984年から郵便や荷物の輸送は縮小。郵便輸送はトラックに置き換わり、荷物輸送は1986年に廃止された。その上、国鉄時代の終わりころには地方都市圏で編成を短縮化。代わりに運行頻度を拡大することで、利便性を向上させることになった。

 客車列車は、出力の大きな機関車で長大な編成をけん引できることがメリットだ。特に朝ラッシュ時にはその性能が役に立った。しかし、時間帯によっては短編成で十分だったり、そのために車両の解結・連結作業をしたりするのが手間となっていた。

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