赤字なのになぜ? ヨーロッパ各国が「夜行列車」を増やし続けるワケ
オーストリアのウィーンからフランスのパリを結ぶ夜行列車が運行を開始した。欧州各国の鉄道事業者が連携して、路線を拡張する計画まで存在している。
サンライズ瀬戸・出雲の行方は

締めくくりとして、日本における夜行列車の現状について少しだけ触れておく。
日本において、現在定期運行されている夜行列車は、東京と高松および出雲市を結ぶ、寝台特急サンライズ瀬戸・出雲のみである。
かつて寝台特急は、ブルートレインと呼ばれ、日本の各都市を結んでいた。しかしながら、新幹線の登場をはじめ、自動車やバス、航空機など他の交通機関の発達、および設備の老朽化により競争力を失い順次廃止されてきたのだ。
寝台特急が淘汰(とうた)される中にあって、個室と横になれる指定席であるノビノビ座席のみで編成されたサンライズ瀬戸・出雲の登場は、ある意味JR西日本をはじめとしたJR各社の英断だったといえよう。1998(平成10)年の登場から既に20年以上がたっており、一般的にいわれている30年から40年の寿命からすると、残された時間はあまり長くはない。
サンライズ瀬戸・出雲の売り上げは、走行距離などに応じてJR各社に配分されており、単純にもうかるかどうかで廃止・継続を判断しきれない。どちらかというと、関係するJR4社が、
「営業上の戦略」
としてサンライズ瀬戸・出雲をどう捉えるかにかかっている。
JR各社の思惑に、地方都市と首都圏を結ぶ路線の維持や環境問題への貢献などの要素が複雑にからまり、今後どのような運命をたどるのか気になるところである。