悲惨な「親子自転車の事故」防げるか? 転倒・衝突を緊急回避へ、日産の革新技術とは
日産自動車がこのたび発表した、クルマの緊急回避性能を大幅に向上させる運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション(Ground truth perception)技術」。2030年までに市販車へ順次搭載していくという新技術についてリポートする。
ふいの自転車転倒も回避可能に?

ここで思い起こされるのが、2022年4月に大阪府東大阪市の国道で発生した事故だ。
幼い子ども二人を載せた自転車が転倒し、3歳の男児が路上に投げ出され、たまたま通りかかった車両にはねられて死亡するという痛ましい事故だ。このシステムは、こうした事例に対応できるのだろうか。
専務執行役員の浅見孝雄氏は、
「自転車がふらついて倒れるなど、起こり得ることをシナリオに組み込んで、リスク回避できる運転戦略を採るのが基本。自転車が軌道を外れることは当然想定しなければならず、その際どこまでを危険ゾーンとして行動すべきか、それを意識して交通環境におけるシーンの洗い出しと数次モデルの確立を行っている」
と話す。
飯島氏は「制動距離限界を超えているなど操舵回避が難しい状況で発生すれば、センシングできたとしても、たとえF1ドライバーであっても物理的に避けることは難しい」としながらも、
「(今回の技術では)路上に落ちている障害物などに対してもセンシング能力は格段に向上しており、一般道なら回避できる可能性は充分ある」
と自信を見せる。
このように危険を回避する機能は、そこに高分解能の次世代LiDARを加えることでその能力は大幅に引き上げられるというわけだ。
今後、自動運転を目指す中で緊急回避性能は極めて重要な機能の一つとなることは間違いなく、日産ではその経験値を車内に残すために、車両制御アルゴリズムを含め内製化していく考えだ。
その意味でも運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション」は大きな前進を遂げたと考えていいだろう。