悲惨な「親子自転車の事故」防げるか? 転倒・衝突を緊急回避へ、日産の革新技術とは

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日産自動車がこのたび発表した、クルマの緊急回避性能を大幅に向上させる運転支援技術「グラウンド・トゥルース・パーセプション(Ground truth perception)技術」。2030年までに市販車へ順次搭載していくという新技術についてリポートする。

高分解能LiDARが大幅向上させた対応力

 そして、この実現に大きく貢献したのがルミナー社製LiDARの採用である。

 実は、カメラは3次元での空間認識が不得意で、ミリ波レーダーは物体の形状を捉えるのが難しい。もともとLiDARはこの弱点を補うことができたが、一方でその検知距離はせいぜい100~150m程度。捉えた解像度もそれほど高いものではなかった。そのため、高速走行では検知するタイミングが遅れがちとなっていたし、特に路上に落ちている障害物への対応で役不足感は否めなかった。

 日産によれば、ルミナー社製LiDARは

・垂直視野角が25度以上
・検知距離300m
・分解能0.05度

という、かつてない検知性能を発揮できるという。この性能が達成されたことで3次元での認知能力は飛躍的に高められ、その結果、カメラやミリ波レーダーを含む三つのセンサーを統合処理することが可能となった。その能力はほぼ人間の能力に近いという。

 見逃せないのが路上障害物への対応力だ。

 これまでのLiDARは解像度が低かったため、路上に物体があった場合それが障害物なのか、道路のインフラなのかを識別することが難しかった。そのため、路上にある物体を検知しても無視することが基本的な考え方だった。これは、路上に埋設されているインフラを障害物と誤認識してしまえば、前へ進めなくなる可能性があったからだ。

 この識別をルミナー社製LiDARが可能にした。これは、たとえば路上に落ちているパレットやタイヤ、もっと言えば人が横たわっていたとしても識別できることを意味する。

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