「まぶしくて迷惑です」 新車の9割に搭載されながら、なぜハイビームは公道の“嫌われ者”であり続けるのか?

キーワード :
,
新車の9割に搭載されたオートハイビームも、夜間使用率はわずか14%。過去10年の歩行者死亡事故の95%はロービーム走行で発生し、普及と活用の乖離が安全格差と制度ジレンマを生んでいる。

性能が生む事故削減効果

ITARDA INFORMATION No.147に掲載された高機能前照灯装備車と非装備車の夜間歩行者死者数比較(画像:ITARDA)
ITARDA INFORMATION No.147に掲載された高機能前照灯装備車と非装備車の夜間歩行者死者数比較(画像:ITARDA)

 オートハイビームにまつわる不和は、技術が広まる速さに私たちの理解や振る舞いが追いついていないことを映し出している。だが、希望がないわけではない。ITARDAの報告に目を通すと、2019年から2022年の統計では、高機能前照灯を備えた車は、そうでない車と比べて、夜間に歩行者が亡くなる事故が100万台あたりで6割も少ない。自動ブレーキの働きを差し引いても、ライトの性能だけで死者を3割減らす力があることがわかっている。

 最近は、前述のとおり、相手がいる場所だけを暗くする「ADB」という仕組みも普及し始めた。これはハイビームを保ちながら、対向車のドライバーがまぶしくないように光を遮るため、すれ違う瞬間も遠くまで見通せる。小糸製作所によれば、こうした仕組みの普及率はまだ10%台だが、軽自動車にも広がりつつあり、周りに迷惑をかけるという不満もいずれ解消されていくだろう。

全てのコメントを見る