「米国を敵に回しても構わない?」 カナダ消費者6割が「中国製EV」支持――利益交換が浮き彫りにする国家の“算盤”とは

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カナダが中国製EV関税を100%から6.1%に緩和、EV販売義務撤回を決定。消費者・連邦政府の短期利益と、オンタリオ州製造業の損失が激突する、北米サプライチェーン再編の前兆だ。

カナダの関税緩和が引き起こす産業の分断

北米市場に迫る中国製EVのイメージ。
北米市場に迫る中国製EVのイメージ。

 2026年1月、カナダ政府は中国製電気自動車(EV)に課す関税を、従来の100%から6.1%まで大幅に緩和することで中国側と合意した。この決断のわずか3週間後、政府は2035年までのEV販売義務化計画を撤回し、代わって新たな燃費基準の導入と、EV購入およびインフラ整備への優遇措置強化を打ち出した。

 一連の急激な方向転換は、カナダ国内に中国製EVへの歓迎と強烈な危機感という鋭い対立を生んでいる。物価高に苦しむ消費者や販路拡大を狙うディーラーが安価な車両の流入を支持する一方で、国内有数の製造基盤を抱えるオンタリオ州は、この方針を自国の産業基盤を根底から揺るがす裏切りと受け止め、激しく反発している。

 評価がこれほどまでに二分される背景には、思想的な対立を超えた徹底した損得計算がある。政府が打ち出した緩和策や燃費基準への移行は、表向きは市場への配慮を装いつつ、実際には中国メーカーの参入障壁を自ら取り払う行為に等しい。

 これは対中国の外交戦略というよりも、どの産業を維持し、どの利益を切り捨てるかという、国内における凄惨な利益配分の調整だろう。脱炭素という理想が、インフレと中国の価格破壊という現実の前に屈服した結果、特定の地域や企業が犠牲となる構造が浮き彫りになった。

 本稿では、各利害関係者が直面する損益を白日の下に晒し、特に製造拠点が集まるオンタリオ州が抱く危機感の正体を突き止める。

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