「ミニ国鉄」と呼ばれた地味な私鉄、なぜ3期連続最高益?――463km抱えて利益率15%の異例経営とは
「地味で堅実」な東武鉄道が3期連続の最高益へ。2026年3月期純利益を520億円に上方修正した。特急やホテルの好調で鉄道業利益率は14.9%と高水準だ。463kmの路線網を幹線が支える「ミニ国鉄」構造を維持するが、地方のクルマ社会化と維持費増のなか、伝統の内部補助モデルは持続可能か。業績の強さがその岐路を映し出す。
沿線自治体の「恩返し」の有無

もっとも、ローカル線が幹線の黒字に寄与する構図があったとしても、内部補助には自ずと限界がある。
実際、東武鉄道と同様に400km超の路線網を抱える名古屋鉄道は、近年ローカル線や末端区間を相次いで廃止してきた。500km超のネットワークを持つ近鉄も、一部路線を分離し、第三セクターへ移管している。広大な路線網を維持し続けること自体が、私鉄経営にとって重荷になっているのが実情だ。
東武鉄道は現時点で、既存ローカル線の廃止や上下分離方式への移行を打ち出してはいない。ただし、過去を振り返れば、1968(昭和43)年の日光軌道線、1983年の熊谷線を廃止してきた経緯がある。将来にわたり全路線を維持できる保証はなく、「支えきれない」との判断が下される可能性も否定できない。
一方で、沿線自治体も手をこまねいているわけではない。2007(平成19)年には栃木県と群馬県にまたがる7市と地元商工会議所、東武鉄道が両毛地域東武鉄道沿線活性化協議会を設立し、公共交通の利用促進に取り組んできた。毎週金曜日を「公共交通利用デー」と定め、自治体職員らに鉄道通勤を促す施策も実施している。しかし、アンケートでは「車の方が便利」との声が根強く、利用増に結びついているとはいい難い。
群馬県では2018年、東武桐生線で特急料金を県が負担する社会実験も行われたが、本格導入には至っていない。需要喚起策は模索されているものの、決定打は見えていないのが現状だ。
東武鉄道が鉄道事業で一定の収益を確保できている今こそ、ローカル線を持続可能にする有効な打ち手が求められている。